道草

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畳の匂いが好きだった
使い込まれて黒光りしてる床板も好きだった
大きな掛け時計が一秒一秒を大袈裟に刻んで
たまに重めの音で時を知らせた
開け放たれたサッシから
夏の風は入ってくる
軒先の風鈴をチリンと鳴らして入ってきて
同じく開け放たれた勝手口のドアから
レースののれんを揺らして出ていった
また来るねとも言わずに

(夏の記憶)

2/23/2023, 1:59:15 AM