道草

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2/9/2023, 1:21:03 PM

道端に咲く小さな花を集めても
花束にはできなかった
摘むとすぐに生気を失って
花は花でなくなった
僕は申し訳なくなって
花を土に帰した
また芽吹いておくれと
身勝手な願いを込めて

君に逢いに行った時
僕は手ぶらだった
渡すはずの花束がなくて
僕の手は空っぽだった
だけどその空っぽの手を
君はぎゅっと握りしめてくれた
来てくれてありがとうって
そう言ってくれた

2/8/2023, 8:25:59 AM

どこにも書けない
誰にも言えない
言葉を得たことで秘密は増える
言えない苦しさ
書けない苦しさ
人間だけがそれを背負った
知能や文明がしあわせなのかと
君に問われても答えられない
その真っ直ぐな眼差しに
目を逸らした回数は数え切れない

2/6/2023, 11:06:39 PM

今まで僕の出逢った人たちは
みんなどうしているのだろうか
早朝の光の中に
ひとり、ひとりと
浮かんでは消える
儚いポートレート

2/4/2023, 1:55:19 AM

千年前を生きた君は
千年後に僕に生まれ変わって
ときどき僕の心を支配する
そう考えると
辻褄の合うこともある
繰り返して
千年先にまた君に生まれ変わるであろう僕の
心を支配するのは君なのか
それとも僕なのか

2/1/2023, 6:41:26 AM

今日というごちゃごちゃの旅の途中で
知らない誰かの淹れてくれたコーヒーが
最高の道連れになる日常
たまたま同じ車両に乗り合わせた人たちに
些細な理由で親しみを感じてしまう日常
空間の歪みをもろともせず
スマホとスマホが僕らを繋げる日常
記憶よりも早く上書きされていくシステムに
容易く打ちのめされる日常
その旅路の果てで僕らは眠る
次が始まるまでの休符、一個分

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