どうして って言葉が
いつも僕に付いて回る
どうして人は生きるのか
どうして僕は存在してるのか
どうして君は泣いているのか
人は悲しいことの方が多くて
気持ちは行く当てもなくて
考えても考えても何も導き出せない
それなのにどうして
今日もまた探してしまうのか
色褪せた景色の中を
走りだしてしまうのか
雲間から日が差せば
鳥はさえずり
羽ばたき飛び立つ
静かな郊外でも
ざわめく街中でも
未開の森でも
山ほどもある言いたいことを
抱え込んだら堕ちてしまうだろう
だから適度に削ぎ落として
フル軽装備で
朝日が洗い流した後の
輪郭鋭い交差点
青に変わる信号
どこへ向かうかなんて
鳥は自由なはずだ
時を告げる
特別じゃないことほど
なぜか不思議な力を持ってる
くだらない話で盛り上がったり
ただずっと景色を見ていたり
何でもないやり取りも
言葉の少ない時間も
あの頃へ戻れる音楽とか
懐かしい場所へ繋がる匂いとか
記憶と感覚はずっと結びついたまま
どこかの隙間に永久保存され
時々そっと差し出される
そんな感じの思い出に
僕は何度も助けられてきた
これからも
いつもの列車が駅から滑り出した
広い川も住宅地も超えて
快速列車は突っ走る
窓の外を猛スピードで飛んでいく景色
それとは逆に
車両の内側に溜まっていく生ぬるい沈黙
不規則な揺れに乗り切れないまま
僕は小さく浮遊して今をやり過ごす
ビルの谷間にある終点で降りると
そこは常に1ミリ先の未来
快速のカプセルで毎日ぎりぎり滑り込んで
時の差を埋めるけれど
いつの日か追いつけなくなるほど
ここは遠い未来になってしまうのかな
ざわめいていた町が
真夜中になると静まり返る
みんな眠りに落ちて
起きてるのは僕ときみだけになる
きみが誰なのか僕には分からないけど
とにかくふたりだけが現実で
それ以外はみんな夢だ
僕ときみは怖くなって
どちらからともなく手を繋ぐ
その手のひらの温もりが
だんだん本物のように思えてきて
僕らの心は震え
勝手に泣きはじめる
朝が来て町が現実に戻り
再びざわめきだすよりも前に
泣き止もうとだけ約束した