僕が今の僕に至るまでにはかなり複雑な道筋が必要だった。ある時には右に曲がって、ある時には左に曲がって、そのどれもが全て合わさって唯一無二の今が存在する。その判断が1度でも違っていれば、今の僕は居なかった。だから、これから先、僕は全ての道に責任を持たなければいけないし、常に今の自分の必然性を感じ取らないといけない。
ひとひらの花びらが宙を舞った。
花びらは風に乗り、僕の頬にくっついた。
柔らかい暖かみを僕は感じた。
あの時見た風景を未だ忘れられずにいる。
歳をとる度に、その景色のモヤは強くなる。
でも、それと同時に忘れてはならないという使命感もより一層強くなる。
これが一体何を意味しているのかはよく分からないが、何かしら僕にとっての重要な出来事だったのだろう。
君と僕は何が違うんだろうか。才能か、環境か、それとも努力の量か。まあ、恐らくその全てだろうけど、何となく考えてしまうんだ、仮に君の才能と環境が僕にあれば、僕だって君ぐらいの努力は簡単に出来るってね。なんの意味もないたらればだけど、それでもそのもしもの可能性だけが今の僕を癒してくれる。だって、僕だって頑張ったんだ。僕は生まれた時から体全体に鉛の重りがのしかかっているのに、それでも前に進もうとしてきた。
君は荒野を歩いてるようで、進む道は全て気づかずに舗装されている。そんな状態で前に進んだ距離を努力の量と断決するのはおかしいだろう。全くもっておかしい。
まあでも、君が頑張っていないと言ってる訳では毛頭ないし、僕だって常に最善を尽くしてきたかと言われれば自信はない。だから、この結果を甘んじて受け入れるしか無かったんだ。
やっとだ。本当に長かった。ついに僕は大学生になれるんだ。いや、本当に信じられないな。だって、あんな毎日勉強しかしてこなかった日々はもう来なくて、明日からは人生の夏休みとまで言われてる大学生活が始まるんだ。
もう数えられないほどに妄想したよ。サークルに入って、彼女を作る。彼女と県外の旅行に出る。友達と日本一周なんてのも考えていた。寝る前の妄想だけが唯一の楽しみだったぐらいだ。
そして、その夢の世界が到来するんだ。本当にやり切ってよかった。途中で諦めなくて良かった。あぁ、楽しみだ。