秋茸梓樹

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10/4/2024, 1:50:38 PM

「踊りませんか?」

放課後の委員会が長引き、
急いで帰ろうと廊下を歩いていると
その光景が目に止まってしまった

空き教室で風になびくカーテンと一緒に
フワフワとスカートを揺らしながら踊る少女

とても綺麗で見惚れてしまった

しばらく眺めていると、目が合ってしまった
急いで目線を逸らし、帰ろうとしたその時

「待って!」

少女に呼び止められる
近づいてきて、手を握ってきた

「あの、私の踊りみてましたよね?」
「私と踊りませんか?」

断ろうと思ったが、強く握られているため断れず
先程少女が踊っていた空き教室に入った

「左手で私の右手を握って、右手は私の背中」
言われるがままに、手を握り少女の背中に手をまわす

「じゃあ、いくよ」
少女がそう言うと、フワフワとまわりはじめた
彼女と一体になって、風になびくカーテンのように踊る
彼女の顔をみる
とても綺麗で幸せそうな笑顔をこちらに向けてくる
こっちも釣られて笑顔になる

下校時刻のチャイムが鳴った
ぱっと手を離す
下校時刻になるまで踊っていたのか…

少女が微笑みながら言う
「明日の同じ時間、また踊りませんか?」

それから毎日、同じ時間同じ場所で、
名前も学年も知らない少女と踊っている

10/3/2024, 3:10:31 PM

「巡り会えたら」

あなたともう少し早く巡り会えたら
あなたの隣に歩いているのは私だったのに

なんで、私じゃないの?

そこは私が居るべき場所なの

その微笑みも
その大きな手も
その落ち着く声も

全部私に向けられるべきものなのに

今からでもアイツからあなたの隣を奪えるかな?

絶対奪ってやるんだから…

10/2/2024, 4:03:10 PM

「奇跡をもう一度」

どうして…

どうしてこんなことに…

私が奇跡をもう一度願わなければ、
みんないなくならなかった

みんなで幸せに暮らす未来が待っていると思っていたのに

もう奇跡なんて信じない

みんなのところにいく前に
アイツを殺してやる

9/24/2024, 8:48:39 AM

「ジャングルジム」

あの時は1番上に登れた者が王者だった

よく王者になっていたから
友人をこき使いまくっていた
嫌われていたかもしれないが
悔しかったら自分より先に
1番上に登ればいいのにと思っていた

あれから時は経ち
社会人になった
色んな人からこき使われる側になった

立場が変わったからわかる
とても辛い
自分はこんなにも酷いことをしていたのか

今さら謝ることも出来なければ
この状況から抜け出す術もない

帰りにあのジャングルジムのある公園に寄ってみた
まだあるんだ…

久しぶりに登ってみた
体が重くなったからか
なかなか上に登れない
これを軽々と登っていたんだな

頂上まで登って
座ってみる

懐かしい景色に涙がこぼれた

9/23/2024, 8:44:39 AM

「声が聞こえる」

最近、声が聞こえる

励ましてくれたり
怒ってくれたり
時には子守唄を歌ってくれたり

どこかで聞いたことある声なんだけど
思い出せない…

ある日
押し入れを整理していたら
1本のビデオテープがみつかった
タイトルはわからない

まだ家にビデオデッキがあったので
再生してみることにした
画面にうつるのは
家族で遊園地に行った時の映像

懐かしいなぁ…
これ、お母さんが亡くなる前に行ったんだよね
お母さんの声、今まで忘れてた
思い出せてよかった…

あれ?
お母さんの声、最近聞こえる声と違う…
あの声、一体誰の声?
お母さんだと思っていたのに…

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