あの子の瞳は一等星
あの子の腕は一等星

一等星の欠片を集めて作り上げる
私だけのあの子
私だけのお人形

決して誰にも渡さない
私の理想を詰め込んだ
私だけのお人形

さぁ、今日はどの星のカケラを集めに行こうか

a.m.5:30
『Ring...Ring...』
朝を知らせるベルが鳴る
今日から私は大丈夫
どこにも、何にも縛られることはない
誰にも怒られる事もない
誰にも哀れまれることもない
だからもう大丈夫
どこに向かうでもないが、今日は何処に行こうか
駅前にある気になっていたカフェにでも行こうか、それとも、海でも見に行こうか
そんなことを考えながら布団の中でぼんやりしている
さあ、まずは布団から出て、身支度をしよう
自由を実感しに行くために

あした、おとうさんのしごとのためにとおくのまちにおひっこしをするみたい
やだなぁ
だって、おともだちとももうあえなくなっちゃうし
ようちえんのせんせいだってあえなくなっちゃうし
おとなりのおばあちゃんにもあえなくなっちゃうし
やだなぁ
わたしだけここにいられたらなぁ

毎日の家事、弟のお世話に、保育園の送り迎え、学校の宿題だってやらなきゃいけないし、毎日色々大変
だけど、このラジオを聞くこの時間、私はやらなきゃ行けない事から目を逸らして、このラジオに聴き入る
毎週水曜日、23:03~23:36
この時間だけ、私は現実逃避する
今だけ、宿題も家事も明日の準備も見ないふり

私はあの子が好きだ
君は今何をしている？何を食べている？もしかして、他の誰かと一緒にいる？
もしかしたら、事故に遭うかも？
ストーカーなんかにあってるかも?!
あぁ、あぁ、心配だ
だから今日も私はあの子を見守る
安心してね
貴方の生活は私が見守るから