ごめん、ごめんなさい。
君の目を見てハッキリ言いたかった。
でも自分は罪悪感から、その場から逃げるようにして、必死で走った。
私はやらかしてしまったのだ。
美術の時間、あの子が筆で絵を描いている時に、私は誤ってバケツの水を倒してしまった。
そのせいであの絵はぐちゃぐちゃになって、台無しになってしまった。
最悪だ、私。
どこかですれ違ったら、必ず謝ろうと心に決めていたのに。
そんな私は不安に押しつぶされて、何も言えなかった。
だけど。
「アタシ、あの絵のこと別に怒ってないから。むしろ、感謝してる。意外といい感じに仕上がったから」
後ろで大きな声が聞こえてくる。
私はその言葉を聞いて、なんとも言えない気持ちになった。
〜「ごめんね」〜
真っ白い半袖から覗く、透明感のある細くて美しい腕。
さらり、と揺れるポニーテール。
私は先輩の、ハリのあるトランペットの音が大好きだ。
私の事を「後輩くん」って呼んでくれる、元気な声も。
人一倍優しいところも。
「後輩くん、今日は一緒に帰ろう」
なんて言われた部活終わり。
もちろん断るわけがなく、彼女の隣を歩く。
色んな話ができて、楽しかったなぁ。
〜半袖〜
今日は友達と遊ぶ約束をしている。
だから、今日はいつもよりも早く起きて、バッチリメイクを決めて、昨日買ったばかりの洋服を着て出かける。
計画は完璧だ。
そのつもりだったのに。
目覚ましが機能してくれなかったせいで!
つい、長寝してしまった。
だから、急いで簡易メイクをして、服装もいつも来ているラフな感じのやつで出かけた。
結果、友達を長い時間待たせる羽目に。
まさに地獄だ。
〜天国と地獄〜
青白い月を見上げて思う。
「もう少し、あと少しだけ、あの愛おしい人との時間を過ごしたい」と。
延長はしません。
だから、まだ生きたい――
まだあの人の笑顔を見ていたいのです。
〜月に願いを〜
もう、煩いくらいだ。
私の心の内を支配するのは、いつまでも降り続く雨。
期待という名の、豪雨。
私は自由にのびのびと生きたいだけなのに。
周りからの期待なんてどうでもいいのに。
誰もそれを許してくれない。
私の中に、晴れの日なんてものは存在しない。
でも、いつかは訪れるのだろうか。
こんな私にも、晴れの日が。
〜いつまでも降り止まない、雨〜