「愛?そんなもの、とうの昔に置いてきてしまったよ」
一人の魔女が薄らと目を細めて言う。対面に座っていた客人は驚いたように目を見開いたが、すぐにもとの顔に戻った。
「いやいや……北の魔女さん、あなたは愛にまつわる魔法が得意だったのでは?」
「あー……はいはい、確かにそうだったね。でも、今は違うんだよ。愛はそんなに万能なものじゃないって、気づいたから」
魔女自らが一から作ったブレンドティーをほんの少し啜る。それから視線を逸らして、ほぅと小さくため息をついた。理由は……聞かない方がいいだろう。直感でそう感じた。
「そう……ですか。では、僕の恋は……」
「あー、他のとこでやってちょうだいな。ワタシはもう、何にも分からなくなってしまったから。愛なんて、知らないんだから」
〜愛があれば何でもできる?〜
どうしてあの時、私は言えなかったのだろう。
「待って」の一言を。
せっかく大好きな人と放課後一緒になれたのに……
二人っきりになれたっていうのに。
もっと一緒にいたかった。
ずっとその人と笑って話したかったのに。
「ばいばい」なんて、したくなかった。
「好きです」って、伝えたかった。
……なんで言えなかったんだろう。
そんな自分が嫌になった。
〜後悔〜
翼を広げ、
風の赴くままに私は飛んでゆく。
澄み渡った青空に線を描くように。
今は安定した風が吹いている。
でも次は。
どうなるかなんて、
自分にも、他の人にも分からない。
でも少しくらいは、
ほんの少しくらいは、
行く先を風に決めてもらっても、
いいんじゃないか。
〜風に身をまかせ〜
自分の趣味に没頭したい。
〜おうち時間でやりたいこと〜
ずっと子供のままだったらいいのに。
そもそも『おとな』って、どこから?
子供のような『おとな』だって、世の中にはいるわけで。
やんややんやと喚いて叫んで。
結局はあの頃に戻りたいと、過去を振り返る。
ならいっそ子供のままでいたい。
めんどうなことなんて、なんにもしたくない。
〜子供のままで〜