頑張って生きる一般人さん。

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「愛?そんなもの、とうの昔に置いてきてしまったよ」

 一人の魔女が薄らと目を細めて言う。対面に座っていた客人は驚いたように目を見開いたが、すぐにもとの顔に戻った。

「いやいや……北の魔女さん、あなたは愛にまつわる魔法が得意だったのでは?」
「あー……はいはい、確かにそうだったね。でも、今は違うんだよ。愛はそんなに万能なものじゃないって、気づいたから」

 魔女自らが一から作ったブレンドティーをほんの少し啜る。それから視線を逸らして、ほぅと小さくため息をついた。理由は……聞かない方がいいだろう。直感でそう感じた。

「そう……ですか。では、僕の恋は……」
「あー、他のとこでやってちょうだいな。ワタシはもう、何にも分からなくなってしまったから。愛なんて、知らないんだから」

〜愛があれば何でもできる?〜

5/16/2023, 4:28:56 PM