頑張って生きる一般人さん。

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2/17/2023, 3:35:35 PM

 小学校の時、こんな授業があった。

「――はい、じゃあ今日は『みんなのお気に入りのもの』について、紹介してもらいまーす。グループになって、話してください」

 ……お気に入りのもの、これでいいのかなぁ。
私の手には、ある一通の手紙が握られていた。そう、それは自分の好きな人からもらった、初めての手紙だ。内容は、『ミカちゃん、またいっしょにあそぼーね!』というもの。保育所の時にもらった。私がケガをした時、いじめられてた時、いろんな時に助けてもらった。かっこいいヒーローのような存在。
 ……あ、私の番だ……
椅子から立ち上がり、深呼吸をする。ちらりと他のグループを見回してみると、なんと、彼も一緒のタイミングで立っていた。彼もなにか、小さなものを握っている。
すると、偶然にも話すタイミングまで被った。

「私のお気に入りのものは、この手紙です」
「オレのお気に入りのものは、この手紙です!」

 ……えっ?今、手紙って。
 私は発表中もその事が気になって、仕方なかった。誰からの手紙なんだろう……



「――それで、あの時の手紙って、結局誰のものだったの?」
「はぁ!?なんで今さら言わなきゃいけねぇんだよ!」
「いーじゃんいーじゃん、ずっと気になってたんだよ?」

 高校になった今、彼からあの時の真相を問いつめている放課後。すると、恥ずかしそうに視線を逸らし、頬をかいた。

「……お前からのだよ。ミカ」
「……!」

 思わず赤面してしまう。すると、「なんでお前が真っ赤になるんだ!!」って、怒られちゃった。でも、すんごく嬉しい。もう、飛び跳ねたくなるくらいには。

「ねぇ、これからも私のヒーローになってくれる?そばにいて、守ってくれる?」
「あったりめーだろ。助けてやるよ。ほら、帰んぞ」

 そう言って、彼は手を差し伸べてくる。私は、はにかんでその手を握った。

〜お気に入り〜

2/16/2023, 9:50:45 PM

誰よりも、上手く話せない。
誰よりも、上手く聞けない。
誰よりも、上手く書けない。
速く走れなきゃ、絵も上手に描けない。

……はぁ、どうして自分はマイナスにしか考えられないんだろう。
何か、何かプラスのことは……

――あ。
自分は、誰よりも無感情になるのが得意だ。

だから、何を言われても平気。
たとえ、蹴られようが殴られようが。

だから、そんな人を倒すことだって――

〜誰よりも〜

2/15/2023, 3:34:37 PM

 今日、私宛にこんな手紙が届いた。

『何事にも流されちゃダメ。ちゃんと、自分の意思を持って生活することを心がけてね。必ず、重大な選択をする時が来るから……』

 というたったの三文。しかも、誰から来たのか分からない。差出人不明だ。というか、今の私の状態、見透かされてる……?怖すぎだ。
 私は気味が悪いと感じ、ゴミ箱に捨てようとした。だが、

「……でも、すごく大事なことが書いてある気がする。一応取っておいた方がいいかな」

 私はゴミ箱から離れ、自身の机へと向かう。そして、引き出しの中に、そっとしまった。

〜10年後の私から届いた手紙〜

2/14/2023, 3:14:50 PM

私は真っ先にあの人達に渡した。
自身の手作りチョコを。
次元を超えて。


……いや実際は、
フィギュアとアクリルスタンドに向かって「あげる」って言ったんですけどね。
もちろんリアクションは返ってきませんよ。
ずっとこっちを見て微笑んでくれているだけです。
ですが、心で感じ取るんです、心で。
周りから見たら「わぁ……」って思うかもしれませんよね。
自分自身も初体験でしたよ、こんなの。
びっくり。


でも、それだけ、あなた方に強く惹かれているんです。

〜バレンタイン〜

2/13/2023, 3:36:52 PM

自分は、まだ子どもで幼いのに、大人のあなたに恋をしてしまいました。

待っててください、すぐに大人になって、あなたに告白してみせます。


自分は大人になりました。無事、あの人とお付き合いすることができました。今日は初デート。

待ってて、今すぐ行くから。


自分は一児の母になりました。あら、もうこんな時間。

待っててね、今迎えに行くからね。
そして、あなたも。


自分はおばあちゃんになりました。子は今でも元気に育っています、頑張っています。ですが、あなたの様態はだんだん悪くなっていきます。

もう少し、もう少し待っててください……せめて、この子の晴れ姿を見るまでは、一緒に生きててください。

〜待ってて〜

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