あら、そこの葉っぱさん。
Shall we dance?
ふたつの葉っぱが、風に踊らされる。
ふわり、と飛んで
くるり、と回り
またふわり、と飛ぶ。
ほら、あなたもあなたも。
Let's dance!
たくさんの葉っぱが、風を巻き込んで踊る。
ふわ〜っと、いっぱい
くる〜っと、渦巻き
またふわ〜っと、いっぱい。
……人間のあたしも混ざろうかしら?
〜木枯らし〜
「突然ですが、質問してもよろしいでしょうか? ……私、○○というものでして……あなたにとって、『美しい』と言えばどんなものがありますか?」
ある一人の少女が答える。
「やっぱり、友情でしょ! あたしとこの子、二人がいればちょー最強なんだから!」
元気いっぱいの回答、ありがとうございます。
ある一人の貴婦人が答える。
「ん〜、やはり、この宝石たちですわねぇ。私が世界中を巡って入手した、どれも貴重なものなんですから! こうね、太陽にかざすとね、みんな違う色を見せるのよ! 美しいわよねぇ〜」
ほんとだ。きれいですね。回答、ありがとうございます。
ある一人の男性が答える。
「……あの鳥。あんな風に飛べたらなって、俺はもう飛べるわけないんですけどね。今となっては社会のゴミだ。これでいいかい? 用が済んだなら帰ってくれ、俺は寝る」
……あらら、ベンチで寝てしまいました。回答、ありがとうございます。
――あ、ちょうどいいところに。ぜひ、あなたの声も聞かせてもらいたいです。
あなたにとって、『美しい』ものと言えば?
〜美しい〜
「この世界は、あなただけのものだ」
自身の狭い心の中で、反響する。ずっと前に、誰かから言われた言葉。嫌な事があった時、辛くなった時、私の心にはこの言葉がよく出てくる。
「この世界は、私だけのもの……」
少なくとも、自身の心の中だけは。だから、誰にどう言われようと、私は私。自分で何もかもキッパリ決めて、行動出来たら一番いい。だけど、現実はそうもいかない。優柔不断で、周りに流されやすい私には。
「この世界は、あなたのもの……」
ほらまただ。
私は鳴り響いて止まないこの言葉を、なんとかして止めたかった。だから、私は大声で叫んだ。
「この世界は私だけのものなんだ!! 誰も邪魔するな!!」
〜この世界は〜
どうして、あたしはできないこなの?
みんなにおいつけなくて
ひとりぼっちになっちゃう
おとうさんもおかあさんも
だいじょうぶっていうけど
あたしはそんなんじゃない
かなしいの
ねぇ、だれかたすけてよ
ねぇ、ねぇ、ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ
〜どうして〜
あの子が公園の砂場でお城を作って笑っている顔。
私の帰りを待って、玄関に飛び出してきて、はしゃぐ姿。
お散歩の時、ぎゅっと手を握る動作。
そんな何気ないことが、私にとって幸せだった。
だがそれは、一瞬にして崩れ去る。
……今日は嫌な夢を見たわ。
もう一度眠りにつきましょうか。
今度はあの子のどんな夢が見られるのかしら。
どうか、夢の中だけでも、幸せな結末を――
〜夢を見てたい〜