田中ボルケーノ

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1/13/2025, 1:31:09 PM

最近は特に、画面越しでもいいでしょ派が増えたように思う

じじいくさいことを言ってんのかもしんないけど、人生も中盤に差し掛かると余計に思う

やっぱ景色は、生でしょ、と

景色とは目的で
その誰かが言ってた絶景とやらが
本当にそこに存在するのかを確かめる作業でもあるわけで
そこまでの行程も含めて楽しむのが景色なんだと思うんだよな

まだ見ぬ景色は
僕の中に閉じ込めておいて
いつか出会えるその日を
楽しみにしている


            まだ見ぬ景色

1/12/2025, 2:42:43 PM

念じる

毛布を整え頭を枕の中心にとり
天井と正対で真っ直ぐに

瞼を閉じ前頭葉へ空気を直に送り込むイメージで
鼻からゆっくりと息を吸い上げ、口から吐く

とにかく念じる

もうとにかく、ここから先は
念の類いである

一時停止されたビデオテープ
リモコン無しでの再生を今夜、試みる

記憶をまさぐり
出来る限りの素材を思い出す


というのも昨晩、
私の夢に突然、優香が現れた

あの有名タレントが絶対に私に気がある感じで話が始まり

よくわからないけど、
いよいよ一緒にお風呂に入る場面までもつれ込んだ

そこまでは確かに見れた

だが、あろうことか、私はそこで目が醒めてしまったのである

もちろん優香は私なんかが手が届かない
高嶺の女性と認識しているが
ぶっちゃけ、それまで大して興味がなかった

なのに、私の夢に現れた途端、
一晩で恋に落ちたのである

こうなると、どうしても続きが見たい

優香とお風呂に入りたい


その想いだけに集中して

枕の中心に頭を置き

天井と平行になり

目を閉じ

ただ念じるのである



          あの夢の続きを

1/11/2025, 4:26:17 PM

心というもんは
香りとか温度の様なもんで
形は見えないけれども
確かにそこに漂うもの

僕らはお互いで話す度
無意識にその香りを嗅いで
温度を自然に確かめ合ってる

スープもピザもさ
温かい方が香りも良くて
美味しいわけで

出来れば貴方には
あたたかいね、と言ってもらえる様に
いつも想ってる


           あたたかいね

1/9/2025, 11:45:58 AM

もうここまできたら除霊してもらうしかない

何かの間違いと何かの間違いが掛け合わさって

みんな誤解しているけど

僕は悪くない

全て悪霊の仕業なんだから

幼い頃から努力に努力を重ねてきた

手繰り寄せたその六本の綱はスターへの道

散らばった塵とガスを集める

時間をかけて徐々に形となりはじめる

巨大なガスは次第に重力を帯び

いつかしかそれは大地となり

地核が燃えはじめる

綱は一本外れたが

中心への圧力は増し

原子の融合を巻き起こし

自ら輝きはじめた

その輝きに世界は酔いしれる

スターダム

綱は外れたが輝きは損なわなかった

それなのになんで

時代が変われば

星を砕く

幾千の時を重ねたとて

容赦なき一撃

散り散りになった

星のかけらを集めて

輝きを取り戻すのだ

もうこれは悪霊の仕業としか思えない

だって僕はスターなんだから

何一つ悪くないだろう

除霊してもらうしかない



             星のかけら

1/8/2025, 1:30:58 PM

私はラッパー

韻で印税、億稼ぐ
秒で人気ですぐ紅白
待っててなママ、わかってるワガママ
ドゥーン、チェケ、愛してる

と実家の玄関でラップでママに別れを告げたあの日

都会へ飛び出して早17年
今年も紅白は一人暮らしのアパートで見ている

でも来年こそは、2024年こそは

長くやった甲斐があって私のラップスキルは研ぎ澄まされた
この辺のアングラでは右に出るものはいない

韻こそが全て、とにかく韻に拘った

根本かつ根源かつ根底かつ困難、それが韻を辿る道
オーソドックスなだけに、やればやるほど奥深い

でもママ、韻だけじゃ、売れないのかな
炬燵で紅白を見ながら想う

アイドルみたいな顔したヤツらが小学生みたいな韻を踏んで売れている

ため息が溢れる

そういや、サンタは今年も現れなかったな

いつになったら来るんだよ、待ちに待ってて狂うんだよ、ベル鳴らしソリ浮かし現れし赤い使い、もう遅い、ありし日の母を想い、想い想い、でも互い違い、時すでに遅し、舌打ちしても、もう会えないし、ドゥーン、チェケ、愛してる、てか


あああ、なんでこんなことになったんだろ

売れたい、売れたい、
ママとの約束、マジでなんでサンタこねえかな

Ring…Ring…、Ring…Ring…つって


Ring…、Ring…、、

ん?

Ring…、Ring…、

あれ、
ちょっとまった、

ひょっとしてこれ、踏めるかもしれない、

BaRing…BonBon、BaRing…BonBon
BaRing…BonBonBAN

BaRing…BonBon、BaRing…BonBon
BaRing…BonBonBAN

To THE ふん、To THE 一番ふふーん


鼻歌で歌った瞬間、震えた

これは、
擬音と、韻の、新しい融合ではないか

この熱が冷めないうちに、
ああ、冷めてなるものか

長年連れ添ったDJに必死で電話をかける

バリンボンボンだよ!松中!紅白いけるぞ!



サンタからのプレゼントを受け取り
私たちの2024年が動きはじめた

今年こそママとの約束を果たすのだ



            Ring…Ring…

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