夏草というと、私の中ではツユクサのイメージが強い。
庭で見つけた花の青が綺麗だったので、摘み取って、空き瓶に入れて飾っておいたら、夜には萎れていて、がっかりしたことを思い出す。
短く儚いことを知っていたら、摘み取っていなかった。

探しているとなかなか見つからない。
「ここにあるよ」と言われて見てみると、すぐ近くにあったり、よく見えるところにある。
目の前にあることもあったけど、気づけないのは、無意識に置いてしまうことが多いからかもしれない。

汗かきなのに冷え性なので、夏も靴下を履いて寝ている。
シルクの靴下だから良いと私は思っているが、母は「暑くない？素足のままでいるのが一番だよ」と言ってくる。
暑いには暑いが、もう慣れてしまったから、靴下を履いていないほうが違和感がある。

「あともう1歩だけ進んだら、休もう」
母と観光地にある長い階段を一緒に上ると、母は度々そう言って、休憩する。
私だけだと、一気に上ってしまって、その日の夜からしばらく筋肉痛で苦しんでいる。
母と一緒に上ったら、休み休み上ったからか、筋肉痛で苦しむことはなかった。

初めて訪れる見知らぬ街。
名前が覚えられない。
「行ったことあるよね？」と言われても、街の名前、何だっけとなる。
何度も行ったら、もう見知らぬ街じゃない。
でも、街の名前、何だっけってなる。