雷の光が見えて、10秒以上経ってから鳴ったら、遠いよと聞いたことがあるから、いつも光が見えたら、数えている。
光が見えてすぐ鳴ったら、とても近いというのは、本当だなと家にある柘榴の木に雷が落ちた時にきた衝撃で思った。

最近の出来事はすぐに忘れがち。
でも小さい頃のことはよく覚えていて、こんなことがあったと母は話してくれる。
小さい頃の思い出は、ずっと残って、きっと最後まで忘れないのかもしれない。

なぜ泣くの？と聞かれたから、悔しくて泣いてるのと答えた。
言いたいことがあるのに、言葉が上手く出せないから。
悪いことをしていないのに、責められて怒られて理不尽だと思ったのに、言い返せないから。
話をちゃんと聞いてくれないから。

一階から子供が走っているような足音が聞こえた。
急いで見にいったけど、誰もいない。
一人で留守番をしていたから、他に誰もいないと分かっていた。
二階の部屋に戻って、本を読みはじめると、また一階から足音が聞こえてきて、気になって見にいった。
やっぱり誰もいなかった。

終わらない夏、同じ日を繰り返す。
知らなければ、気付かなければ、それは繰り返していないのと同じ。
知ってしまったら、気付いてしまったら、終わらせようと足掻く。
やっぱり次の日へと進みたいと願ってしまうのだろう。