窓の外を眺めても見えないのは、もう知っている。
目を閉じて、遠くの空へと思いを馳せる。
音だけ聞こえてくる。
近いけど、見えなくて遠い。
音に合わせて、昔見た花火を頭の中に思い浮かべる。

叔父と叔父の家族はいつも何も連絡をしないで家を訪ねてくる。
普通は連絡してから来るものだろうと、私と母はいつも言い合っている。
準備とか、心の準備が全く出来ていない時に突然来るものだから、驚きだけでは足りない感情でいっぱいになる。
その日に来るとしても、連絡しておいてほしい。

それが自分自身が今見ている景色だとずっと思っていた。
自分が見ていた景色の記憶とは全く違う景色のはずなのに。
夢から覚めて、君が見た景色だったのだと気付く。

分かりたくもないのに、何で分かってしまうんだろう。
声の調子で、この人は今日は機嫌が良いんだ、今日は機嫌が悪いんだって。
自分の中だけで思って、本人には何も言わない。

夏に公園で友達と喋ったり、買った花火で遊んでいるのが楽しくて、22時近くに帰ったら、家の鍵が閉められていたことがある。
家には門限なんかないと思っていたが、父からしてみたら、許せる時間帯は21時までだったのだろう。
怒られなかったが、それからは遅くならないようにと気をつけるようになった。