たーくん。

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12/20/2025, 11:21:45 PM

経年劣化して少しボロボロになった赤いリボン。
小学校低学年の頃、坂井君から貰った物だ。
『これ、たんじょうびプレゼント』
無愛想な顔をしながら渡してきた記憶があるけど、今思うと照れ隠しだったのかもしれない。
当時の私は、好きな男子からプレゼントを貰ってすごく嬉しかった。
その気持ちは今でも変わらない。
今日は小学校の同窓会。
坂井君、来てくるのかな?
「ボロいリボン付けてるなぁ。新しいの買えばいいのに」
私の隣に座った男性が、リボンを見て失礼なことを言ってきた。
「これは私にとって大事なリボンなの」
「お前は昔と変わらず純粋な奴だなぁ」
「もしかして、坂井君?」
「ああ」
無愛想な顔で返事する坂井君。
「坂井君も変わってないね」
「ん?それどういう意味だよ」
「ふふ、ないしょっ」
久しぶりの再会に、私達は会話に花を咲かせた。

12/19/2025, 10:54:43 PM

少しひんやりとした誰もいない休憩室。
仕事に集中し過ぎて、休憩をするのを忘れてしまっていた。
上司に少し休憩しろと言われ、俺一人だけ遅い休憩をしている。
自販機であたたかい缶コーヒーを買い、椅子に座ってプルタブを開けた。
一口飲むと、ふうー……っと溜め息が出る。
やっぱりコーヒーはブラックに限るが、疲れた脳をリラックスするために、何か甘い物が欲しいな。
残念ながら、お菓子とかは持っていない。
「おつかれさまです。よければこれどうぞ」
同じ職場の女性の田中さんが休憩室に入ってきて、何かが入った小さい包み紙を三つくれた。
「一口サイズのチョコです。コーヒーのお供に食べてください」
「ちょうど甘い物が欲しかったんだ。ありがとう」
「いえいえ。では、私は職場に戻りますね」
田中さんは少し早足で職場へ戻っていった。
もしかして、わざわざ俺のために持ってきてくれたのだろうか?
いや、そんなわけないか……。
手のひらに乗った三つの小さい包み紙。
早速一つ開けると、中には四角いチョコが入っていた。
口の中へ入れた瞬間、甘みが口の中に広がり、幸せな気分になる。
田中さんに感謝しながら、リラックスした。

12/18/2025, 10:07:19 PM

あなたの心の片隅には、なにがありますか?
私は、恋心があります。
前へ出ないように押し込んでいたけど……。
彼の姿を見るたび、声を聞くたびに、どんどん恋心が膨らんで、心が恋心で埋まってしまう。
ある日、彼が普段何しているか気になって、隠れながら後をついて行った。
「ごめんごめん待った?」
「ううん。今来たところだよっ」
彼は、笑顔で楽しそうに女性と話していた。
多分、デート……だと思う。
膨らんでいた恋心は、風船の空気が抜けるように縮んでいった。

12/17/2025, 10:15:29 PM

昨夜から朝まで雪が降り、真っ白になった外の世界。
まさかこんなに雪が降るとは……。
いつも通勤で乗っている電車は動いておらず、会社に電話して休みにしてもらった。
他の交通機関も雪で動いてなくて、ほとんどの社員が会社を休むらしい。
まぁ、こんなに積もってたらどうしようもないよな。
会社に電話したあと、もう一度窓を開けて外を見る。
真っ白で、いつも見ている光景とは違い、別の世界を見ているみたいだ。
外は誰も歩いてなくて、物音もなくシーンとしている。
まるでこの世界に俺一人だけになってしまったかのような感覚。
……おっと、せっかく今日は休みになったのに、これじゃ気分が下がってしまう。
外の世界に別れを告げ、窓を閉める。
部屋の電気を点けて明るしくし、今日は何をして過ごすか考えながら、気持ちも明るくしてパジャマから服へ着替えた。

12/16/2025, 10:06:44 PM

ピンクに包まれているなんともいえない世界。
彼女がどんな夢を見ているのか気になり、人の夢に入ることが出来る"ユメハイール"を開発して、早速入ってみたが……ピンク一色でなんてやらしいんだ。
だが、そう思ったのは一瞬だけだった。
ピンクの世界で、全裸おじさんが一人で踊っている。
……なんだこれ。
そういえば、彼女はおじさんが好きって言っていた。
「俺はおじさんじゃないのに、なんで告白をOKしてくれたんだ?」と聞くと、「これからおじさんになっていく姿を見たいからだよ」とよく分からない回答をされたことを思い出す。
その時は彼女が出来て嬉しかったから気にもしなかったけど、今思うと少し変だな……。
俺が歳をとって、おじさんになったら、こんな風に踊らされるのだろうか?
「そこの坊や。一緒に踊りましょ」
しかもこの全裸おじさん、オネェ口調だし。
彼女の夢なんか覗かなければよかったな……。
誘いを断るのは申し訳ないから、少しだけ全裸おじさんと一緒に踊ってやった。

「昨日ね。君が楽しそうに踊ってる夢を見たよ」
次の日、彼女から俺の夢を見たと言われて、ハッとする。
どうせなら、もっと別のことをすればよかったと後悔した。

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