最近我が家にやってきた、ミルクのような真っ白の猫。
可愛くて、家に居る時はいつも撫でて愛でてる気がする。
それ故に……。
「にゃ~ご、猫ばかりじゃなくて私も愛でてほしいにゃ~ご」
妻が猫のように甘えてきた。
「はいはい、よしよ~し」
猫と同じように、妻の頭を優しく撫でて、愛でる。
猫が二匹になったけど……ま、いっか。
音が溢れすぎている、うるさい世界。
耳栓をして、音をシャットダウンする。
これで静かになったけど……違和感を感じた。
音を鳴らしながら動いていた物達が、音を鳴らさず、静かに動いているからだ。
皆は音のある世界で生きているのに、自分だけ無音の世界でひとりぼっち。
そう考えると、すごく虚しくなってきた。
……仕方ないなぁ。
耳栓を取り、うるさい世界へ戻る。
あー……やっぱりうるさい。
でも、こっちの世界のほうが″生きている″と実感出来た。
燃え盛る炎のような形をした赤い葉。
私達はこの葉を、熱葉(ねっぱ)と呼んでいる。
熱葉は取り扱いに注意しなければいけない。
太陽の光にしばらく当てるだけで、燃えるからだ。
だからこうして、暗い倉庫に保管して……。
「熱葉を使って焼き芋焼こうぜ!」
「今日はいい天気だし、すぐに焼けるな!」
悪ガキどもが熱葉を使おうとしている。
まったく……この前注意したところなのに。
「コラ!悪ガキども!熱葉を許可なく勝手に使うな!」
「わ!頑固オヤジだ!」
「逃げろー!」
「誰が頑固オヤジだ!……ったく」
と言っている私だが、実はこっそり熱葉を使って焼き芋にして食べているのだ。
熱葉で焼く焼き芋はすごく美味しくて、悪ガキどもに食べさせるには勿体ないから、こうして追っ払っている。
熱葉を二枚、芋が入っている包みに入れ、今日も焼き芋を堪能するため、山へ向かった。
夜空に浮かぶ、真ん丸の満月。
こっちに向かって光を放っていて、まるでスポットライトのようだ。
立ち止まって、満月を見上げる。
満月の光を浴びると、パワーが貰えるらしい。
大きく息を吸い、満月のパワーを吸い込む。
ま、本当にパワーを貰えるかは分からないけど、仕事で疲れてる今は、信じてやろう。
時折空を見上げながら、帰路に着いた。
テーブルの上に並べられた、美味しそうなスイーツ達。
「神よ……今日だけは、スイーツを大量に食べる私をお許し下さい……」
シスターである私は、体型を維持するため、大好きなスイーツを食べることを我慢している。
でも、今日は月に一度の、スイーツを沢山食べてもいい日。
……私が勝手に作った日だけど。
やっぱりご褒美は必要だし、スイーツは食べたいからね。
「それでは……いただきまぁす!」
腕捲りし、まずは苺が乗ったショートケーキをいただく。
「んん~!おいひ~!」
あま~いクリームの味が、口の中に広がる。
糖分最高♪
あっという間にショートケーキを完食し、他のスイーツ達の甘味や食感を味わいながら、月に一度のご褒美を満喫した。