空から熱い光線を出している太陽。
今日は用事があって外へ出ているが、このままでは溶けてしまいそうだ。
店にでも入って少し涼もうか。
リ~ン、リ~ン。
とこかから風鈴の音が聞こえてくる。
周囲を見渡すと、氷旗が吊り下がっている喫茶店を発見。
吸い込まれるように喫茶店に入った。
中はクーラーが効いていて、暑さが和らいでいく。
果汁100%のオレンジジュースを注文し、ゴクゴクと喉の音を鳴らしながら飲む。
甘味と酸味のバランスが良く、美味しくて一気に飲んでしまった。
外とは違い、ここはまるでオアシスだ。
飲み終えたあとも少し涼んでから、会計を済ませて外へ出る。
「ミーン!ミーーン!」
元気よく鳴くセミの声が、耳に響く。
相変わらず太陽は熱い光線を出し続けている。
暑さから救ってくれた喫茶店。
今度またここへ来て、次はみかんジュースではなく、違う物を注文しよう。
喫茶店を名残惜しみながら、目的地へ向かった。
照明がほんのり点いている暗い自室。
どうやら、私はいつの間にか寝てしまったらしい。
頬に、何か違和感を感じる。
確か……寝ようと思ったら、最近会社で起きた嫌な事を思い出して、涙が出てきて……。
そのまま泣き疲れて寝てしまったのだろう。
頬に感じた違和感は、涙の跡……か。
スマホの画面を開き、時間を確認すると、まだ0時にもなっていなかった。
なんだか寂しくなり、彼氏に電話しようかと思ったけど、さすがにこの時間は迷惑が掛かるし、寝ているかもしれない。
なので、彼氏から貰った励ましボイスを聴くことにする。
「いつも頑張ってて偉いな。そんな頑張り屋さんのお前が大好きだ。だけど、あんまり頑張り過ぎるなよ?辛い時は、いつでも俺が励ましてあげるから」
「うん……ありがとう……」
彼氏の励ましボイスを聴いて、心が温かくなる。
目を瞑り、彼氏のことを考えながら、私はゆっくり眠りへと落ちていった。
空から降り注ぐ熱すぎる日射し。
この前まで春だったのに、いつの間にか夏がやってきていた。
長袖はもう暑くて着ていられない。
タンスから約一年ぶりに半袖を取り出す。
着てみると、去年より少し太ったのか、ピチピチな気がする。
まっ、いっか。
改めて外へ出る。
日射しが眩しくて、思わず左手を太陽に向けた。
すると、左脇から脇毛が太陽に向かって「こんにちは!」と挨拶をしている。
……処理しよう。
再び家の中へ戻り、ワキ毛を剃って、さようならした。
もしも過去へ行けるなら、君はどこへ行きたい?
学生時代の自分にアドバイスしに行く。
就職活動している自分にアドバイスする。
なるほど、今の自分に不満があるから、そうしたいんだね。
あの時、ああしとけばよかったって思ってるから。
でも、たとえ過去の自分を変えても、現代の自分には反映されない。
なぜかって?
過去の自分が別の道へ進んでも現代の自分に繋がらず、別の世界線が出来るからだ。
だから、過去へ行っても無駄なんだよ。
どうしてそんなことを知ってるかって?
実際に行って見てきたからだよ。
これを知らせるために、過去の自分に会いに来たのさ。
ここまで言ったら、私は誰なのか、分かるよね?
英語の授業が終わり、騒がしくなる教室。
"True Love"
さっき英語の先生から学んだ英単語。
意味は、真実の愛。
「皆も、高校生活三年間で見つけられるといいですね」
英語の先生がそんなことを言うから、女子達が集まって盛り上がっている。
女子って、どうしてそんなに恋愛話が好きなんだろう?
まぁ、俺には関係ないことだ。
「女の子達を見てなにぼーっとしてるのよ」
話しかけてきたのは、同じクラスで幼馴染みの侑子。
「いや、恋愛話で盛り上がってるなーって思ってさ」
「へぇー……あんた、恋愛に興味あるんだ」
侑子は両手を後ろにして、モジモジしながら言った。
「なにモジモジしてるんだよ侑子。あの日か?」
「そんな訳ないでしょ!このバカ!」
侑子は怒って自分の席へ戻っていった。
「なに怒ってるんだよあいつ」
まっ、いっか。
しばらくすれば機嫌は戻るだろう。
真実の愛……ね。
多分、俺には、いや、俺達にはまだ早い気がする。
……やっぱり、次の授業が終わったら侑子に謝っておくか。
あれこれ考えていると、次の授業の始まりを告げるチャイムが、教室内に響き渡った。