今日も収穫がたくさんあった、なぜか怖がってたのはわからないけれど。
今夜も枕の下に、撮った写真を忍ばせる。
まだ話しかけるタイミングじゃないから、思い出させたら混乱しちゃうから、夢で練習しておく。
貴方と巡り会えたらいいな、前世から様々な障害に阻まれた私達が今世で不自由のない生活を送るの。
待っていてね!
見たことある後ろ姿の子が今日も盗撮してくる。
どうやら自分とその子は、前世から恋人だと周囲にほざいているらしい。
もし本当だとしたら、巡り合いたくはない。
夢でも度々出てきて、寝不足気味だ。
これが起こって早数年、こんな状況から助けてくれる人と巡り会えたらいいと思って眠りにつく。
早く諦めてくれ!
これはまだゲーム始めたての頃だった。周年のガチャでたった11連でピックアップをフルコンプした。
「おい、その運くれ!!」
と友人に言われたのだが、いまだにそれ以来のミラクルは起きてない、多くて2つ。これはもう二度とこない出来事だと天井をしながら感じている。
あーあ競馬で3連単当たったとか、マーク問題を適当に書いて全問正解した運無駄に消費せずに貯められたと考えたら…!もちろん、今考えれば推しなのでオールオッケーなのだが。
「さて、今日で2周年。この日のために必死に貯めてきたんだ。」
課金?してない、課金の沼は恐ろしいと聞くからね。今回のピックアップにも推しがいる、今まで推しをコンプリートしてきたんだ!絶対に、取るぞー!
「ごはんよー!来なさーい!」
と、いったんアプリを閉じてご飯を挟む。流石に食事の時にスマホはちょっとお行儀がアレだからね。
ご飯を食べてしばらく家族とテレビを見ていた。よくあるクイズ番組、どっかで見た頭の良い人が多答クイズで見たこともない世界の偉人をすらすらと答えている。
『奇跡、奇跡の全問正解!!なんと、○○、これまで誰も成し遂げたことのないグランドスラム!!』
奇跡、はっ!?とリビングをドタバタと抜け出して自室で携帯を取り出してアプリを開く。まだ、ガチャ画面のままだ。高鳴る鼓動が部屋の空気を包む、そして引くボタンを押す。
…あれ?全然ロードが終わらない、不安と期待を感じ三分が経過。まだ、終わらない。と思ったら、いつもの画面へ。最低保証の演出が昇格に変わる。さあ、あの奇跡をもう一度!また、見せてくださいお願いします神様仏様運営様!!
よっしゃーーーーー!!!
Miracle comes twice.
黄昏の時にたそがれる、ははっ。
そんな事を考えながらパックジュースを飲む。
我慢できない衝動が身体を乗っ取る。
連絡を全て拒否して、落ちようとする。
「止まって!」と腕を引かれて転ぶ。
私を止めたのはこの世の者とは思えないほど綺麗な人。
「今井さんだよね?」と聞かれ、頷く。
「ライン交換してなかったから、聞きたくて。」
いや、そんな理由か!とツッコミたくなった、笑った。
遠くまで来たその人の努力を無碍には出来なかった。
「きっと明日も会えるからさ、落ち込むなよ。」
そう微笑んだ貴様は、細く衰えていた。私に願えば、病魔を気にせずに未来を過ごせるというのに。
「後少しで、回復するから!退院したら、一緒にゲームしようぜ!」
黄泉への旗が立つ、どうにか壊さないと。壊すしかない、後で病魔を人為的に消しかけたやつも含めて。
「決して俺を治そうとするなよ?力を使ったら、借りが出来ちまうからな。」
その言葉でも笑顔は崩れなかった、言い訳は思いついている。毎日部下に言い訳をしている、信頼もできない部下に。
『じゃあ、その借りとやらを返すぞ。』
孤独な神である我と、友達になってくれたという借りを返すまでだ。貴様の体から、ありとあらゆる病魔を破壊する。今も、そして、これからも。
『これで対等じゃろ?』
「相変わらず、お前はウザい神だな。」
『はっはっはっ、褒め言葉じゃよ。』
…これできっと明日も、なんて言葉が無くなる。いや、無くなりはしない。
きっと明日も、貴様と過ごせるな。
僕は常に、曲を聴いている。
最近のJ-Popやらボカロやらとかではない。
この曲にジャンルはない、強いて言えばクラシックだろうか。
夏休み、涼しい部屋で一日中過ごしている。
その中で行われる宿題、携帯、掃除、それらで発生する音全てがこの曲に集約されているし解釈もできる。
言ってしまえば、エアコンの音や腹の虫の音もそうなっている。
周りから見たらそれは静寂と捉えることも出来るだろう、静寂だからこの曲が引き立つんだ。
『4分33秒』って良い曲だな、わはは。