NoName

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3/22/2024, 6:14:36 AM

  二人ぼっち

  教室に入れなくて、別室登校をしてたあの日。
  教室に差し込む昼下がりのオレンジ色の光。
  貴女が響かせる鉛筆の音と、
  私がついた、軽いため息。
  そして、少しのクーラーの機械音。
  二人だけの静かで少し悲しい空間。
  少し離れたどこかの教室から笑い声。

  …….二人ぼっちだね。

10/30/2023, 12:31:12 PM

 お題 懐かしく思うこと


立っているだけで汗が滲む、そんな夏になると思い出す。
アイスの味、あなたの声、女の子の赤い顔。
私じゃない誰かにあなたが告白した時のことを。
それは体育館裏でのことだった。
ソーダアイスをかじりながら、居残りだったあなたを学校まで迎えに来ていた。
そんな時、聞こえた。あなたの声が。
「好きです!付き合ってください!」
体育館裏から聞こえたその声は紛れもなくあなたのものだった。
私の手からアイスが落ちる。
信じられなかった。信じたくなかった。
女の子が頬を赤らめながら小さく頷くのも、あなたがみたことないくらい嬉しそうな顔をしているのも。
私の目から流れる涙も。
嬉しいはずだった。あなたが喜んでいるのが。
愛おしいはずだった。ベタな告白の場所を選び、ベタな告白の仕方をしたのも、全部。
でも、どうしようもなく悲しかった。

10/29/2023, 1:03:42 PM

 お題 もう一つの物語
 
 私には妹がいた。
 流産で死んだらしい。
 その時の記憶を何故か鮮明に覚えている。
 まだ、6、5歳の私の手の人差し指を握りしめてい
 る、小さな手。
 その小さな手は、なんだか紫色をしていた。
 死んでいたのか、その時にはまだ生きていたのか。
 そんな事は分からないが、確かにこの手を握ってい
 た。
 私が初めて、死を知った瞬間だった。
 そして私が初めて、お姉ちゃんになった瞬間だった
 。
 
 妹が私の代わりに生きていたら_______。
 そう、考えない日はない。
 でも、その理由は綺麗なものなんかじゃなく、
 私の身代わりになって欲しい、そんな理由だ。
 中学になってから始まった、同級生からのいじめ。
 辛すぎた。何回死のうと思ったか。
 でもそんな勇気はなかった。
 だから、変わって欲しかった。
 逃げ出したかった、この日常から。
 今日も妹の仏壇の前で今はもういない妹へ、言う。
 「私の体で生きてみて。」