二人ぼっち
教室に入れなくて、別室登校をしてたあの日。
教室に差し込む昼下がりのオレンジ色の光。
貴女が響かせる鉛筆の音と、
私がついた、軽いため息。
そして、少しのクーラーの機械音。
二人だけの静かで少し悲しい空間。
少し離れたどこかの教室から笑い声。
…….二人ぼっちだね。
お題 懐かしく思うこと
立っているだけで汗が滲む、そんな夏になると思い出す。
アイスの味、あなたの声、女の子の赤い顔。
私じゃない誰かにあなたが告白した時のことを。
それは体育館裏でのことだった。
ソーダアイスをかじりながら、居残りだったあなたを学校まで迎えに来ていた。
そんな時、聞こえた。あなたの声が。
「好きです!付き合ってください!」
体育館裏から聞こえたその声は紛れもなくあなたのものだった。
私の手からアイスが落ちる。
信じられなかった。信じたくなかった。
女の子が頬を赤らめながら小さく頷くのも、あなたがみたことないくらい嬉しそうな顔をしているのも。
私の目から流れる涙も。
嬉しいはずだった。あなたが喜んでいるのが。
愛おしいはずだった。ベタな告白の場所を選び、ベタな告白の仕方をしたのも、全部。
でも、どうしようもなく悲しかった。
お題 もう一つの物語
私には妹がいた。
流産で死んだらしい。
その時の記憶を何故か鮮明に覚えている。
まだ、6、5歳の私の手の人差し指を握りしめてい
る、小さな手。
その小さな手は、なんだか紫色をしていた。
死んでいたのか、その時にはまだ生きていたのか。
そんな事は分からないが、確かにこの手を握ってい
た。
私が初めて、死を知った瞬間だった。
そして私が初めて、お姉ちゃんになった瞬間だった
。
妹が私の代わりに生きていたら_______。
そう、考えない日はない。
でも、その理由は綺麗なものなんかじゃなく、
私の身代わりになって欲しい、そんな理由だ。
中学になってから始まった、同級生からのいじめ。
辛すぎた。何回死のうと思ったか。
でもそんな勇気はなかった。
だから、変わって欲しかった。
逃げ出したかった、この日常から。
今日も妹の仏壇の前で今はもういない妹へ、言う。
「私の体で生きてみて。」