椿灯夏

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8/30/2025, 11:46:08 AM

お題《ふたり》

祝福されない誰からも
炎の花は世界を焼く
どこへもいけない
どこへもたどりつけない
咲いては散った涙の花
過ぎ去りし幸福は
金木犀の香り
(途中書き)

8/29/2025, 12:09:44 PM

お題《心の中の風景は》

空白のキャンパスへ
つまずくたび拾った欠片たち
庭の石は月の石
教室からみたクジラの雲
手紙の花束
プールの帰り道飲んだ星屑ラムネ
古書店の魔女が綴った旅人のはなし
つまずくたび拾い集めた種
苦い記憶は土でおおい
心が癒し癒されるまで
ふたたび芽がでるまで

今は
それまでは
おやすみ


空白のキャンパスへ
心の空腹は隙間
さみしさの現実逃避
雨宿りしているときの心細さ
なんでもいいから
なんでもいいから
すくって
すくって
だれでもいいから
だれでもいいから
そんなことは言えなくて
そんなことも言えなくて


心にしまいこんで
心にカギをかけて
今は
それまでは
空白のキャンパスは
空白のまま

今は
それまでは
おやすみなさい







8/28/2025, 11:12:51 AM

お題《夏草》

コバルトブルーに輝く空
鳥になる
風になる
空を渡って
鬱蒼とした日々を越えて
夢見てみようか
置き去りにしたあの日の夢を
今なら掴める はず
今なら
鳥になる
風になる
空を渡って 青を手に入れる
世界は美しい
世界は 永遠 そのものだ


風鈴の音色が風にとけて
夏空をつくる
君とふざけあって
スイカの種とばし
縁側の庭先 ゆれる向日葵の海
世界はこんなにも青くて 美しい
君の笑顔が 世界をいろどる


夏は美しい 永遠に


鳥になる
風になる
空を渡って 空を渡って


青を手に入れる

8/27/2025, 12:58:29 PM

お題《ここにある》

叶わない約束を詠う
永遠に……


夜の底で深く追憶する
天に浮かぶ花園仰ぎ
忘れじの丘に咲く月氷の桜は
夜に青銀の光放つ
水底に沈んだ遺跡巡って
ふたりだけの冒険譚
天蓋ベッドで夢見た日々


窓辺で猫は静かに微笑む
透き通った瞳 静かに遠くを見つめ
永遠を願った
花弁が夜空に舞いあがる
それは祈りの象徴


瞳に陽は宿らず
身体は月へ 一歩ずつ近づいて
少女と少年はそれでも夢見る
叶わないと知りながら
叶わない約束を詠う

終わりへと近づく
季節は春から冬へと廻る
美しい花は眠り
美しい花は夜明けを待つ

窓辺で猫は静かに佇む
永遠なんてどこにもないと知っている
それでも永遠を願ったのは―――― 


空っぽになった天蓋ベッド
月の光だけが遺されて


猫は詠う 叶わない約束を

永遠に……

8/25/2025, 11:35:48 AM

お題《もう一歩、だけ》

静寂に氷る柩
敷き詰められた祈り花
思い出が颯爽と駆け抜けて
沈黙の時 沈む 沈む
カラカラ カラカラ 廻る 廻る
カラカラ カラカラ 廻る 廻る


「知ってる? おれもうすぐ死ぬんだよ」


それは真実か嘘か
夜の底さしこむ白銀のつきあかり
咲きほこる笑顔は
誰がための笑顔


「都市伝説みたいなはなしだけど、真実《ほんとう》。信じる信じないは自由だけど、誰にも言わないでね」


踊らされてあげよう
命は儚い

踊らされてあげよう
私にもひみつはある


「もし飼鳥だったら、鳥籠なんて飛び出して、世界を飛び回るんだ! 鳥籠に自由はないから、死ぬのも自由だ」


壊れそうなくらい美しいこの世界が

とても とても

美しくみえたんだ

この一瞬が

永遠に、みてみたいって思った


静寂に氷る柩
敷き詰められた祈り花
思い出がこぼれ落ちて
沈黙の時 沈む 沈む
カラカラ カラカラ 廻る 廻る
カラカラ カラカラ 廻る 廻る



一体この世界は誰がための、世界?

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