椿灯夏

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3/24/2025, 11:11:31 AM

お題《もう二度と》

神様が始まりに創った世界は花のように散った

神様はたいそうお嘆きになった

神様が望んだ物語のようにはならなかった


それは悲劇か希望の始まりか


神様は最後にもう一度世界を創った

“永遠の鳥籠”を


永遠に廻り続ける世界

死を遠ざけ永遠に終焉など訪れない世界を

花のように散らない世界を



時は流れ



運命は再び巡り始める



異能《終夜》を持ったマレビトの少年と


神様の想いを受け継いだ少女は


長い長い時を得て出会う



でもそれは世界を揺るがす物語の始まりだった


3/20/2025, 10:47:43 AM

お題《手を繋いで》


鳥の翼を持った流れる星の瞳に導かれ

僕は異世界転生した

彼女の記憶の中の世界へ

彼女は彼女では探し出せない

抜け落ちた記憶を僕に託して


《途中書き》



3/17/2025, 3:05:24 PM

お題《叶わぬ夢》


忘れられた玉座に蔦が這う

色褪せた王のいない城

幻想の人影が揺れ動く

王を探して

もう二度とここには戻らぬ主の帰りを待つ


――いつまで待つのだろうか


王は終焉の地でとうに果てたというのに

死んだら夢も何もない

残るものなどありはしない

屍となって砂塵となるだけだ


――そうか。それが“幸せ”か


オレと“あいつ”のように

心の奥底に鍵をかけた

いい記憶だって

見方を変えれば悪夢でしかない


――王よ。あなたは何を望む?

叶わぬ夢でも――


記憶の中の王に語りかける


「――――」


…………そうか


最初からすべてわかっていた


――あなたは生まれながらの“王”だな


《途中書き》

3/11/2025, 1:10:48 PM

お題《星》


天幕の向こうに星火が灯る

旅人の行く末を示す羅針盤

いつか邂逅を果たすその時まで

それを道標に狭間を渡る

散りゆく花に誘われて

新たな物語を紡ぎだす


星空の向こう竜の詩を聴いた

お伽話のように懐かしく

伝承のように神々しい


いつかの記憶がよみがえる


異端扱いされた少女と詩季綴りの少年

ふたりは出会うはずのない

世界から泡沫となった、ふたり



《途中書き》

3/10/2025, 3:51:54 PM

お題《願いがひとつ叶うならば》


「沈黙は願いを叶える美しい象徴。お前はどんな夢を望む?」


真実の魔法使いと語るにはあまりにも綺麗な嘘をつく男


その男の名は“アメシウス”




“沈黙は大罪”

“沈黙は願いを汚す行い”


神を崇めるその街は魔法使いを嫌う

街一番の教会は魔法使いを裁くための籠鳥

そこには地位の高い聖職者と魔法使いを狩る吸血鬼が

永遠とも想える悪夢を再演するのだ


誰も彼もが騙し合う

己の願いのために

嘘と嘘を重ねて“真実”にする


《途中書き》






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