椿灯夏

Open App
2/6/2025, 1:47:46 PM

お題《静かな夜明け》


室内を満たすのは鬱蒼とした空白の感情

恋人と些細なことで言い争って

手つかずの料理

恋人が好きだと作ってくれたスープも

今は沈黙の海でしかない


もっと話したかった

もっとあなたの日常の色を知りたかった


でもあなたにはここではない楽園があった


わたしじゃなかった


わたしだけが夢見て


散った

2/4/2025, 11:10:57 PM

お題《永遠の花束》


紡いできた想い出を編んでみる

記憶に刻まれた物語を

それは四季織のように

どうしようもない絶望も

踊るような幸福も

ふりかえれば財産だ
 

宝石にならなくとも

価値にならなくとも


それは誰かの世界観で決めることじゃない

自分の意思で、瞳で、掴んだもので、決めることだ


それはいつかきっと永遠の花束となる



その美しさは色褪せない

あなただけの輝きだから


誰にも分からずとも

それは誰のせいでもなければ

あなたが悪いわけじゃない



わたしは、それを美しいと想う


あなたの生きた証なのだから 





1/19/2025, 2:33:13 PM

お題《ただひとりの君へ》


春風に誘われて美術館へ足を運んだ

理由なんてない

興味もない


それでも一目惚れしたんだ

足を止めた

まるで足が運命を知るように


真っ白なアンティークのドレスを纏い

桜色の唇に花笑み

椅子に腰かける美しい人

僕はこの絵画を知らない


それでも足は先を見る


遠い過去の異国の人が描いた絵画

僕はその時代に想いを飛ばす



もしこの時代で出会えたなら

美しい言の葉で綴った手紙を渡すだろう



まだ見知らぬ君へ

名もなき絵画の君へ


1/16/2025, 11:43:12 AM

お題《透明な涙》

信じられないくらい空は綺麗だった

カメラのファインダー越しからみた風景は

僕の瞳から見た空は薄汚れて錆びていたはずなのに

僕の想う空は空想に過ぎない

公園のベンチから見上げたあの日

僕は空を手に入れた気がした

馬鹿みたいだと思うかもしれない

でも本当なんだ

いつだって空は寄り添って

そこにいてくれた

僕が空白で泣けない夜だって

空は涙の花を降らせてくれた

人でも癒せない傷がある



「空に会いにいこう」


この絆は永遠だ

1/5/2025, 8:41:16 AM

お題《幸せとは》

Next