月下の胡蝶

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7/8/2024, 11:20:12 AM

お題《街の灯り》


「ようこそ死者が灯す街へ」


「死者が?」



昏い夜の底に彩れたその街に灯りはない。それでも夜を見透せるこの瞳のおかげで、困った事は一度たりともない。せいぜい悩みがあるとしたら、死者を呼び寄せてしまうくらいだろうか。


華美な装飾を好まない自分の纏うものは、旅路の途中で出会った《織姫》と呼ばれる少女だった。言の葉から織る、風から織る、水から織る――世界に存在するものなら、すべて可能であると。


――ねぇリュカ。僕にもできるかな?


俺は、さあなと心で返事し。それから独り言のように口にする。



「どうやって灯してるんですか、死者は」


「死者の、言の葉です。言の葉には、理なんて関係ないですから。言の葉には無限の力があるんですよ――それこそ禁忌すらも紐解いてしまう力が」


「…………」




《リュカは。リュカだけは、わたしを否定しないよね?》



俺が――終わらせる。



この滑稽な物語は、俺が始めたものだ。


俺が、いなければよかったんだ。


7/8/2024, 12:51:06 AM

お題《七夕》


コンペイトウが散らばる紺碧の空に向かって伸びる竹は、願い事を織姫と彦星に届けようとしているのだろうか。


麦茶を飲みながら縁側で空想にふける。足元で戯れる猫をいなしながら、風に泳ぐ短冊を魚みたいだなと思わず笑ってしまう。


「兄ちゃん願い事なに書いたの? ぼくが彼女できるように書いてあげようか」


「兄ちゃんはモテるんです」


「ほんとに〜?」



台所からこっそりスイカをくすねてきた弟が差し出す、ルビー色に輝く果実を受け取る。





俺が願ったのは――もう、叶えられているけど。


でもいいんだ、それで。


7/6/2024, 10:49:12 AM

お題《友だちの思い出》



日常を便箋に言の葉で綴る。


好きなもの、日常の風景、悩み。


たとえどんなに世の中が発展し流れていっても、一番幸せだった、記憶。



7/5/2024, 11:46:21 AM

お題《星空》






星空屋さんの星屑灯《ほしくずとう》

夜を照らすためのランプ。星詠である青年が幾つもの夜空を渡りその時々の、季節の、星の力を集めてつくっているらしい。





星詠である青年の好物は星屑糖。


人魚姫の物語のような泡沫の味がしたりするとか。



7/4/2024, 11:48:02 AM

お題《神様だけが知っている》






英雄たちの背負った“不条理”を。


英雄たちが歩みの中で、失くしていったものを。




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