お題《命が燃え尽きるまで》
茜色の空が朱く朱く、瞳を染める。
服も、手も、みんな茜色の空になる。
命の焔を燃やす旅路。
復讐という名の理由を名づけたこの旅路は、きっと誰も救わない。幸せは、もう二度と咲かないだろう。
それでもいい。
「俺の意味は……俺が決める。そこに、誰かの意思などあってなるものか」
誰も何者にもなれない。
だったら――死ぬまで、俺の自由だ。
お題《心の灯火》
流転しながら命は物語を繰り返す
煌めきを灯し
次への時代へ繋いでゆく
心は数多《あまた》の旅路を紡ぎながら物語を織ってゆく
ねぇいつか聴かせてよ
君だけの心の灯火を
お題《香水》
見慣れた町の。
見慣れたカフェの、知らない物語。
翡翠の木々が眩しいカフェテラスの一角。月を淹れたような香水瓶片手に、流暢な語り口調で、その香水の物語を聞かされる。
青いビロードのような瞳を持った、美しい陶器のような彼は、カフェで異彩を放つ。
惹かれてしまった《引かれてしまった》
町の片隅で壊れていた時に、笑顔で、その香水の香りを知ってしまったら――もう、後戻りはできないのだから。
お題《言葉はいらない、ただ…》
その瞳で、あなたの見てきた風景を語ってくれませんか。
わたしの瞳には光がさしません。
でもきっと数多の夜も、あなたの風景を聴くためにあったのでしょう。
雨の多い日々さえも――光降る日々に、変わってゆくから。木漏れ陽降る日々へ――。
お題《突然の君の訪問。》
無気力だから、生活感は水底。
泡沫となって消えてしまえと心の鉛を呑みこむ。
だから君が颯のように、玄関の扉を開けて入ってきた時――とてもとても嬉しかったんだ。
「一緒に食べよう」
きらきらした果物ゼリーとミネラルウォーターが眩しい。私の好物の、ハムとチーズの君特製のスペシャルサンドイッチも――。
きっと明日から浮上できる、陽だまりの花咲く場所へ。