椿灯夏《少しずつ削除します》

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9/14/2023, 10:57:38 AM

お題《命が燃え尽きるまで》




茜色の空が朱く朱く、瞳を染める。



服も、手も、みんな茜色の空になる。




命の焔を燃やす旅路。


復讐という名の理由を名づけたこの旅路は、きっと誰も救わない。幸せは、もう二度と咲かないだろう。


それでもいい。




「俺の意味は……俺が決める。そこに、誰かの意思などあってなるものか」






誰も何者にもなれない。



だったら――死ぬまで、俺の自由だ。



9/2/2023, 12:37:21 PM

お題《心の灯火》




流転しながら命は物語を繰り返す


煌めきを灯し


次への時代へ繋いでゆく


心は数多《あまた》の旅路を紡ぎながら物語を織ってゆく



ねぇいつか聴かせてよ



君だけの心の灯火を

8/30/2023, 11:24:41 AM

お題《香水》


見慣れた町の。


見慣れたカフェの、知らない物語。



翡翠の木々が眩しいカフェテラスの一角。月を淹れたような香水瓶片手に、流暢な語り口調で、その香水の物語を聞かされる。



青いビロードのような瞳を持った、美しい陶器のような彼は、カフェで異彩を放つ。




惹かれてしまった《引かれてしまった》





町の片隅で壊れていた時に、笑顔で、その香水の香りを知ってしまったら――もう、後戻りはできないのだから。



8/29/2023, 11:13:02 AM

お題《言葉はいらない、ただ…》



その瞳で、あなたの見てきた風景を語ってくれませんか。



わたしの瞳には光がさしません。


でもきっと数多の夜も、あなたの風景を聴くためにあったのでしょう。




雨の多い日々さえも――光降る日々に、変わってゆくから。木漏れ陽降る日々へ――。



8/28/2023, 12:10:42 PM

お題《突然の君の訪問。》



無気力だから、生活感は水底。



泡沫となって消えてしまえと心の鉛を呑みこむ。




だから君が颯のように、玄関の扉を開けて入ってきた時――とてもとても嬉しかったんだ。




「一緒に食べよう」



きらきらした果物ゼリーとミネラルウォーターが眩しい。私の好物の、ハムとチーズの君特製のスペシャルサンドイッチも――。





きっと明日から浮上できる、陽だまりの花咲く場所へ。





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