月下の胡蝶

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お題《香水》


見慣れた町の。


見慣れたカフェの、知らない物語。



翡翠の木々が眩しいカフェテラスの一角。月を淹れたような香水瓶片手に、流暢な語り口調で、その香水の物語を聞かされる。



青いビロードのような瞳を持った、美しい陶器のような彼は、カフェで異彩を放つ。




惹かれてしまった《引かれてしまった》





町の片隅で壊れていた時に、笑顔で、その香水の香りを知ってしまったら――もう、後戻りはできないのだから。



8/30/2023, 11:24:41 AM