お題《終点》
記憶の水槽、揺り籠。
幸福に満ちた日常もあれば、不幸だと思えるような夜の底もある。
それぞれの夜明けが、あなたを待っている。
それぞれの歩んだ先の、答えがちゃんとある。
あなたの歩んだ道は《正解》でしたか?
お題《最初から決まっていた》
それでも勝ってやろう。
その賭けに。
今日まで「自分」を続けてこられたのは、文章を「描く」ことが好きだった。
ただ、それだけ。
お題《目が覚めるまでに》
紅茶とハーブティーを用意する。朝一番摘みたての夜明けのハーブと、魔法使いのお兄さんからいただいた星降るエデンの紅茶を。
月桃の蜂蜜とバターたっぷりのトースト。
それから大好物の目玉焼きを忘れずに。
――おはよう。わたしの大切な、世界で一番愛しい人。
美味しい朝食を用意したよ。
ターコイズブルーのカーテンが風ではためく。
夢のような、夢じゃない、やさしい世界がそこには広がっている。
――今日は特別に、ブルーベリーを使ったチーズケーキを作ろう。愛する彼女のために。
朝露煌めく淡い金色の髪が流れるように、美しい彼女のために。鮮やかな夜明け色の瞳が、僕を見ている。
ああ、なんて幸せなんだろう。
お題《病室》
時の止まったこの部屋に淡い月明かりがさす。
静寂包む聖域で、透明な便箋に今までの陽だまりの記憶を書き記す。
いつかこの手紙を読む君へ。
ありったけの愛を籠めて。
「あの時――なんて言えばよかったのかなあ……?」
「生きてくれ」と告げられたあの日。
一緒に生きよう、とはじめての愛をくれたあの日。
君の未来を壊したくなかった。
君の未来を、守りたかった。
いつかわかってくれるだろうか?――ちがうね。はじめからきっと、わかってたね。
正解なんて、きっとはじめから存在しなかった。
お題《明日、もし晴れたら》
翡翠の海に氷を浮かべて、透き通った香りのミントで彩った、物語の続きを飲もう。
夏の陽ざしに負けないくらい、煌めく夢物語を。
雨が降ったら雨宿りして、晴れたら――駆けだそう。
私の夢を掴むために、真っ直ぐに。