7/28/2023, 5:19:53 PM
お題《お祭り》
風の言の葉で歌う涼やかな旋律。
それが、人の子を呼ぶ。
カラカラ廻る朱い風車。
青い狐の青年と人の子である、小さな娘。
――拾わなければよかった。
今さら後悔するのはずるいのだとわかってても、もう遅い。憂鬱で悲壮ただよう青年に娘は、風車を指差し楽しげに言った。
「あかい風花きれいだねぇ」
「……風花は、そういう意味じゃないだろう」
「えー? 風に廻る花だよ。ほら」
カラカラ……。
「まあ、たしかに」
綺麗なものだけ集めた、祭り。あやかしも人の子も――結局は好きなのだ、美しく儚いものが。
迷わぬように、その小さな手を引いて、青年は果たしてこの娘が帰れるだろうかと見つめた刹那――目が合った。
「いいの。この夢が終わらないのなら、それでも。だってまだ、お兄ちゃんと一緒にいたいから」
7/23/2023, 4:38:06 PM
お題《花咲いて》
いつか、この物語にも終焉が来るのだろうか。
光の世界で、咲くことはできなかった。
夜の世界で。ずっとずっとひとりきり、永遠に訪れることのない朝を待つの。
そんなことすら幸せの悪夢なのだ。
7/14/2023, 11:16:37 AM
お題《手を取り合って》
理想は語れない。語らない。
見えるものがちがっても、そこには確かな絆がある。
7/12/2023, 6:12:49 PM
お題《これまでずっと》
青い夢が見たかった。
青い夢を掴みたかった。
言葉の剣は心を夜に突き落とす。
言葉という高度な魔法を持っていたとしても、人は正しく使えないのだ。
7/5/2023, 2:51:31 PM
お題《星空》
掴めると想う子ども。
掴めないと識る大人。
永遠に手を伸ばし続け、目を輝かせられる大人でありたい。