お題《子供のままで》
水晶の瞳で世界を夢見る。
無限の手で描く物語。
自由を夢見る。
自由の船旅。
ゆけると信じ進む、剣の子供たち。
お題《愛を叫ぶ。》
声が。
仕草が。
色が。
彼女から伝わる愛情はハチミツのようにやさしい。
お題《一年後》
暁の薔薇香る丘。
どの季節でも薔薇の花に包まれ――
《薔薇の夢》と呼ばれていた。
でも夢は終わる。
花は枯れ、
鴉の人々の鎮魂歌が哀しげに揺れて。
薔薇の夢の跡 想い出も露と消え
遺ったのは錆びた古城の残骸。
お題《明日世界がなくなるとしたら、何を願おう。》
聖者でもないのに、美しい言葉ばかりならべて。
自分を嘘で飾りたてる。
それでも心に浮かぶ月のままに願うなら。
いつ何時どうであろうと、物語を描けますように。
こうして言の葉を咲かせたい。
――猫たちにとって、最後の日が楽園でありますように。
明日も続いて――なんて私には、願えない。ならこう願うしかない。
お題《君と出逢ってから、私は…》
希望は絶望に。
花は雫に。
ならばもう、願うのはやめようと春雨が降る中心は夜の底へと沈んでゆく。
月のない夜をずっと歩いているようだった。
灯りのない道を行く宛もなく歩いていくのは、心ともない。夢にも届かず曖昧なバイト生活を送る日々は私の心を殺していった――そう誰でもない、自分が選んでこうなったのだから、全部悪いのは自分だ。
雨で散ってしまった花の終焉を見つめ。
「あーあ。どうしてこうなんだろう」
「心がお腹、空いてるからじゃない」
思わず振り返る。そこにいたのは、春に咲く桜のように鮮やかな髪色の少年だった。
「これあげる」
「……桜饅頭」
「駅前の和菓子屋さんに季節関係なく売ってるんだけど、これすっごい美味しいから。――心がお腹空いてたら食べてみて? じゃあまたね」
それは春の夢だろうか。
後にも先にもその少年ともう一度出会う事はなかったけど。
あの日以来、もう心のお腹が空くことはない。
春雨の降る日は君を思い出す。