月下の胡蝶

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5/4/2023, 11:12:52 AM

お題《大地に寝転び雲が流れる……浮かんだ物語》




天穹に煌めく星が死んでしまったら。



蝶は、何を道標《めじるし》に飛べばいいのでしょう。




青く煌めく羽も今ではすっかりくすんで、枯れ果てて。


おそらくわたしは――もうじき死ぬでしょう。もう瞳も黄昏から夜へと、移り変わり美しさを失った。



『今までで、一番美しい青を見た』



わたしの《色》がほめられた。同族から嫌われたこの青が――その日はじめて、光を見たの。



わたしも――今までで、一番やさしい、光をみた……よ……。



その時、月の雫が零れ落ちた。


5/3/2023, 10:55:10 AM

テーマ《ありがとう》そんな言葉を伝えたかった人へ。



あなたが亡くなった日、太陽が消えてしまった。


日常の色が死んでしまった日。




なのに――記憶の中のあなたは色褪せず美しくて、今でもずっと、私を支えてくれる。



ごめんね。まだあなたを、面影を、探してしまう。



ありがとう。たくさんの幸せと優しさをくれて。




いつの日か旅立つ日まで。


また会う日まで。



だいすきなあなたと物語を語りましょう、いつの日にかきっと。




5/2/2023, 11:10:58 AM

お題《優しくしないで》



その手の月灯りをふりほどけない。


夜の底にいたわたしを救ってくれた、あの柔らかな光を宿した手を。



ねえいつか、わたしを見てくれますか。


ねえいつか――その特別な眼差しをわたしにだけ、向けてくれますか。




涙はいつ枯れるのでしょう。



あなたの眼差しの向こう側に、今日も雨が降る。


5/1/2023, 10:58:47 AM

お題《カラフル》




日常は色にあふれている。



楽しい日常も。


楽しくない日常も。




彩あふれる世界はとても美しく愛しい。


4/30/2023, 12:35:09 PM

お題《楽園》



鳥籠に守られた楽園に降る月光。


ここから出たいなんて思わなかった。



青い死神に魅入られたあの日が訪れるまでは――。




零れ落ちる砂時計の砂は語る。


ひとひらの夢幻を。



これは、死神と少女が紡ぐ泡沫奇譚。


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