椿灯夏

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2/27/2023, 11:05:16 AM

お題《現実逃避》


旅人になった。


数えきれない異国の物語。
――ここではない何処かへいこう。夜に落ちて、露となって消えてしまう前に。



救われない物語になってしまう前に。




「俺は何処でも、何処まででも――君についていくよ」




太陽が輝く前に、夜色の外套を纏い、星々の煌めきを持つ旅人と出逢った。瞳の奥は青く澄み渡る――。







あなたとなら、きっと千の物語だって紡いでいける。











2/25/2023, 1:04:10 PM

《茜色の魔法使い》走り書きのためあしからず……。










「物語に出てくるようなすごい魔法使いじゃないから、世界は変えられないけど――でも君の日常は変えてみせるよ」



嘘月な魔法使い。


そんな事できるわけないじゃない。


できるはず、ないじゃない。



優しい橙色に染まる校舎の教室で、私は泣いてしまった。



――ずっと我慢していたのに。



学校では絶対泣かないって、誓いをたててたのに。こんなにも脆く儚い誓いなんだって、今目の前にいる現代の魔法使いに教えられた。




この、茜色の魔法使いに。




2/25/2023, 4:03:21 AM

お題《小さな命》


膝にちょこんと座る生き物からは陽だまりの匂いがした。



声を聞くと愛おしくて、傍にくると触れずにはいられないやさしさの集合体。



《叶》と名付けた君は――今はたくさんの幸せを叶えて、私の幸せも叶えてくれる。



「叶」


――ほらすぐ傍に来てくれて、すり寄って来てくれる愛しい小さな命のかけら。


2/22/2023, 11:47:59 AM

お題《太陽のような》



太陽のような淡い金色に輝く蝶を見た人は幸せになれるんだって。















あ、でもね。それは――あの世で叶えられる幸せだよ。






2/20/2023, 12:59:17 PM

お題《同情》



決して交わる事のない道の果てに、何が待つのだろう。ぼんやりとそんな事を思いながらにじむ親友の背。


青と紫の紫陽花が鮮やかに咲いている大通りで、遠ざかる、背。


何度も追いかけて、語り合った背は。





――わかるよ。でも大切なものを失ったからといって、それは赦されない禁忌だ――。




雨が語る真実はまだ、遠く果てしない道の途中にある。



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