テーマ“遠くの街へ”
君を忘れる為に、こんなにも遠くの街へ来たのに
初めて来たはずの場所で
君の想い出に浸る。
当たり前に笑いあっていた想い出と
当たり前にふざけあっていた想い出。
昨日の事のように思い出せる。
君といた場所と全然違うのに。
あまりにも
あまりにも長く居たから
全く関係ない場所でさえも
君を忘れられない。
もっと、もっと
遠くの街へ行かないと……
テーマ“太陽のような”
初めてあった時から
眩しい人だと思った。
初めて見た時から
熱い人だと思っていた。
そして、周りを明るく照らす存在だとも知った。
私とは真逆の存在で
私とは相容れない存在の人。
だから、私は好きになる事は無かった。
100人中99人が好きだとしても
私は、好きにはならなかった。
嫌いになる要素は何処にも無かったけれど
別に好きになる要素も無かった。
いつも誰かに囲まれている、人気者だと思うだけ。
太陽のような人
私には眩し過ぎる。
テーマ“0からの”
ボクには何も無い。
名前も、居場所も、家族も、友達も、仕事も、恋人も、趣味も何も無い。
昔はあった気がする。
どのくらい昔なのか、それさえも憶えていない。
気がついたら、ココに居た。
ココが何処で、ココが何なのか
さっぱり分からない。
ただ、何故か知らないけれど
物凄く派手な格好の人に、カラフルな服、カラフルな髪色、カラフルなメイクをしている人に
歓迎されている。
カラフルな空間で。
ハート型や星型のバルーン、壁や床もカラフル。
カラフル過ぎて目が痛い。
でも、ボクは、真逆な
とてもシンプルな、真っ白な服装。
しかも何だか、これは………死装束…的な
え
ボク死んだの。
死んでたの。
呆然とする。
カラフルな人は、ボクに言った
「貴方は新しい人生を歩みます。コレはその送迎会なのですよ!」
「送迎…会?」
「はい。新しい人生へ送り出す為の会」
「……」
「あれれ?嬉しくないですか?」
「分からない…です」
「まあ、確かに、生を受けると言う事は、嬉しい事だけじゃないです。産まれてすぐ、また、コチラ側に戻ってくる人も少なくは無いですし。」
コチラ…側。
「でも、その時はその時で歓迎会をします」
「…えー…」
思わず声を上げる。
それはもう、嫌そうに。
「アチラ側で悲しかった分、コチラ側では笑わせてあげたいのです。喜ばせてあげたいのです。勿論、長くアチラに居た人の場合は、お疲れ様会になります。まあ、どちらでも無い場合は、まあ。それなりに何かしらの会が行われます」
何かしらの会…とは。
恐らく、その人の死に方に寄って変わるのだろうか…。
じゃあ、ボクも……?
記憶を遡ろうとするけれど、何も思い出せない。
「でも、ボク、何もされてない」
「そりゃあそうですよ。その時の事は全て忘れます。今、この時も、アチラ側に行く寸前に忘れます。」
「何で」
「0からのスタートさせる為に、何も憶えていない方が良いからですよ。コレは前の事を全て忘れさせる為の会ですから。さあ!楽しみましょう!」
テーマ“枯葉”
幼い子が
枯葉のある場所を選んで踏んでいるのが見える。
その枯葉は、残念ながら
雨や雪で、ふにゃふにゃになっていて
枯葉独特のカサカサパリパリ何て音はしないけれど。
何であんなに、枯葉を踏みたがるんだろうと
不思議に思うけれど
私が幼かった頃、似たような事をしていたなと思い出し、微笑ましく思う。
だが、実際に微笑んだら
とても怪しい人に思われる。
残念だが。
「怪しい人では無い」と言うとますます怪しまれるので、
何とか表情を変えずに、その子供を追い抜いていく。
懐かしさを思い出させてくれた
見ず知らずの幼い子。
テーマ“誰よりも”
誰よりも理解していると思っていた人に
言われたくない言葉を笑顔で言われた。
誰よりも信頼していたのに
その一言で全てが壊れた気がした。
誰よりも信用していた人を
誰よりも信じられなくなった。