蒼月の茜雲

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2/22/2023, 6:24:12 AM

テーマ“0からの”


ボクには何も無い。
名前も、居場所も、家族も、友達も、仕事も、恋人も、趣味も何も無い。

昔はあった気がする。
どのくらい昔なのか、それさえも憶えていない。

気がついたら、ココに居た。
ココが何処で、ココが何なのか
さっぱり分からない。

ただ、何故か知らないけれど
物凄く派手な格好の人に、カラフルな服、カラフルな髪色、カラフルなメイクをしている人に
歓迎されている。
カラフルな空間で。
ハート型や星型のバルーン、壁や床もカラフル。
カラフル過ぎて目が痛い。
でも、ボクは、真逆な
とてもシンプルな、真っ白な服装。
しかも何だか、これは………死装束…的な




ボク死んだの。
死んでたの。

呆然とする。
カラフルな人は、ボクに言った
「貴方は新しい人生を歩みます。コレはその送迎会なのですよ!」
「送迎…会?」
「はい。新しい人生へ送り出す為の会」
「……」
「あれれ?嬉しくないですか?」
「分からない…です」
「まあ、確かに、生を受けると言う事は、嬉しい事だけじゃないです。産まれてすぐ、また、コチラ側に戻ってくる人も少なくは無いですし。」
コチラ…側。
「でも、その時はその時で歓迎会をします」
「…えー…」
思わず声を上げる。
それはもう、嫌そうに。
「アチラ側で悲しかった分、コチラ側では笑わせてあげたいのです。喜ばせてあげたいのです。勿論、長くアチラに居た人の場合は、お疲れ様会になります。まあ、どちらでも無い場合は、まあ。それなりに何かしらの会が行われます」

何かしらの会…とは。
恐らく、その人の死に方に寄って変わるのだろうか…。
じゃあ、ボクも……?
記憶を遡ろうとするけれど、何も思い出せない。
「でも、ボク、何もされてない」
「そりゃあそうですよ。その時の事は全て忘れます。今、この時も、アチラ側に行く寸前に忘れます。」
「何で」
「0からのスタートさせる為に、何も憶えていない方が良いからですよ。コレは前の事を全て忘れさせる為の会ですから。さあ!楽しみましょう!」




2/19/2023, 11:01:14 AM

テーマ“枯葉”

幼い子が
枯葉のある場所を選んで踏んでいるのが見える。
その枯葉は、残念ながら
雨や雪で、ふにゃふにゃになっていて
枯葉独特のカサカサパリパリ何て音はしないけれど。

何であんなに、枯葉を踏みたがるんだろうと
不思議に思うけれど
私が幼かった頃、似たような事をしていたなと思い出し、微笑ましく思う。

だが、実際に微笑んだら
とても怪しい人に思われる。
残念だが。

「怪しい人では無い」と言うとますます怪しまれるので、
何とか表情を変えずに、その子供を追い抜いていく。

懐かしさを思い出させてくれた
見ず知らずの幼い子。

2/16/2023, 3:02:01 PM

テーマ“誰よりも”

誰よりも理解していると思っていた人に
言われたくない言葉を笑顔で言われた。
誰よりも信頼していたのに
その一言で全てが壊れた気がした。

誰よりも信用していた人を
誰よりも信じられなくなった。

2/14/2023, 2:58:49 PM

テーマ“バレンタイン”

女の子「明日バレンタインだから、大好きな人にチョコ渡すんだ」
ウキウキしながら学校に向かった。

けれど、好きな男の子は、その日は休みだった。
どうやら風邪を引いたらしい。
その女の子は、ランドセルにチョコを入れたまま、落ち込んで帰った。

次の日も、その次の日も、好きな男の子は学校を休んでいた。
1週間後、好きな男の子は元気になって、学校に来たけれど、女の子はもう、バレンタインのチョコを渡す機会を無くしていた。


…そもそも、バレンタイン当日休まれた影響で、もう、どうでも良くなり、特に好きでも無い男の子に「俺誰からも貰えなかった」
と泣かれたせいで、仕方なくチョコを渡していた。

渡したあとに、やっぱ返して!と追いかけたけれど、その男の子は返してくれず
泣きながら、女の子は帰った。
そんなに安くなかったチョコ(小学生にしては)好きな子に渡したかったのに…

後悔しか残っていない。
風邪を引いた子が悪い訳でも
チョコを貰えないと泣いた男の子が悪い訳でも無い(返してくれなかったのはムカついたけれど)
ランドセルにチョコ持ってきたと言ってしまった私が結局は悪いのだと、女の子は項垂れる。

その時から、その女の子はバレンタインが嫌いになった。



…実話。

2/13/2023, 1:25:08 PM

テーマ“待ってて”

此処で待っててと言われ
ずっと待っている。
何分?何時間?何日?
もう、迎えになんか来ないと分かっていても
もしかしたら、と言う希望が捨て切れずに…

迎えにくるつもりなんか無いのなら
待ってて何ていう必要は無いんだよ。

例え、骨だけになろうが
その骨が大地に還ろうが
ずっと……待ってるよ。
永遠に。

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