この道の先に
学校帰りにふらりといつもと違う道を歩いてみた。
駅に行くまでの道は何通りかある。
ふわり。
甘いような、少し焦げたような、香ばしいような、
そんな香りが鼻を通り抜けた。クロワッサンだ。
いつもとちがう道。その道の先にはいつもと違う出会いがあった。
2024/7/3
日差し
今日は大雨だった。お陰でバスも電車も遅延。だから
いつもよりも学校に着くのに、2時間も多くかかった。
でも学校に近づくごとに天気が良くなっていく。
学校からの最寄りのバス停に着く頃には晴れていた。
太陽が眩しくて下を向いた、そしたら今度は水たまりの反射が眩しくて、太陽とは反対の空を見上げた。
虹が出ていた、とてもきれいな虹が。
2024/7/2
窓越しに見えるのは
この間あった定期テストの合間にふっと外を見ると、学校のベランダに蜻蛉が止まっていた。
でもテスト中だったし、すぐに問題に向き直った。
____キーンコーンカーンコーン
テストが終わった。解答用紙が回収されて、試験監督の先生が全員の名前と出席番号を確認する間、そういえば、と思い出して蜻蛉を見てみようと、ベランダに目をやった。
そしたら、窓越しに後ろの席の子と目が合った。
昨日から梅雨入りして、空が雨を降らしていて、窓の反射で教室の中が見えるんだったな、なんて急に冷静になって考えていた。
後ろの席の子が微笑んだ。
私も微笑み返した。
今までの論理的な思考なんて梅雨の雨に流されるようにとこかへ行ってしまった。
普段はじめしてしていて嫌いな梅雨だけど、こんな事もあるのなら、案外梅雨も悪くないかも。
2024/7/1
赤い糸
私はまだ「赤い糸」だとか「運命の赤い糸」だとか、そんなの全然わからない。だって誰かを本気で好きになったり、愛したり、まだそんな感情に出会えていない。だって私まだ高校生だもの。
これからきっと出会うんだろうな、好きな人ができたり、何かに本気で夢中になったり、だって私まだ高校生だもの。
楽しみ。
2024/6/30
入道雲
自室の窓から見る入道雲。
教室の窓から見る入道雲。
電車の窓から見る入道雲。
全部同じ「入道雲」という一般名詞なのに、脳裏に浮かぶ情景は全部違う。
部屋から見る入道雲はどんなのだろう、朝1番に窓から空を見上げているのか、あるいは夏休みに勉強をしながら見ているのか、アイスクリームを頬張りながら見ているのか。
教室から見る入道雲はどんなのだろう、授業中にふと空を見るのか、休み時間に友達と外を見ているのか、お弁当を食べなら見ているのか。
車窓から見る入道雲はどんなのだろう、夕陽に照らされほんのり色付いているのか、もしかしたら、想いを寄せている人と隣に座って、でもお互いに話を切り出せなくて、無言のまま外を見ているのか。
同じ「入道雲」なのに、こんなにも違う。だから私は日本語が好きだ。
2024/6/29