つきよの

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3/2/2025, 12:01:14 PM

#誰かしら?

「い、一体、どこの誰かしら?」

文化祭での女装喫茶
こんな格好……
絶対アイツにだけは見せられまいと
逃げていたはずなのに!

なんで、しらばくれたはずなのに
俺はコイツに腕を掴まれているんだ?

待て待て!そっちは……!!

3/1/2025, 12:10:39 PM

#芽吹のとき

昨日までコートが必要だったのが嘘のように
暖かい日差しが窓辺に差し込む

日差しに誘われてベランダに出てみると
枝だけの姿に見慣れてしまった街路樹に
微かな芽吹を見つけた

(俺も……)

なんだか新しいことがしたくなり
まだ眠り続けているアイツを叩き起こしに
俺は口元に笑顔を浮かべながら
寝室に向かった


2/28/2025, 1:21:54 PM

#あの日の温もり

忘れもしない
初めて会ったときに感じた
絶対的な服従感

頭の中では逃げなければと思いながらも
伸ばされた手に抗うことは
僕にはできなかった
これは……運命なんだと

雨に濡れて冷えていた身体は
温もりなんて優しい言葉じゃ
足りないほど
重ねられた熱を痛いほど感じた

5/2/2024, 12:37:28 PM

#カラフル

ある日君は、僕が見たことのないものを嬉しそうに持ってきた。

それはカラフルで、固いリボンのようなものだった。

銀テープと呼ばれるものらしく、何やら日付やらメッセージが書かれていた。

ファンの子たちは取り合いになるほど欲しいものらしい。

いつか自分の名前が入ったものをくれてやると言って、握りしめたまま眠りについてしまった君。

こんなものになんの価値があるのかわからなかったが、僕も君の名前が入ったものだったら欲しいと思ってしまった。

君の名前がキラキラしていたら、きっと飽きずに見つめてしまうだろう。

4/29/2024, 11:45:05 AM

#風に乗って

病室の窓から中庭を見下ろすと
君がベンチに座って俯いているのが見えた。

大方、僕にどんな顔をして会いに行くか迷っているところだろう。

きっとお節介な大人が僕のことを喋ったから。

僕は君が笑ったり怒ったり、屈託のない表情をみせるのが楽しみなのに。

ベット脇に置かれたチェストからノートを取り出してページを切り取ると、紙ヒコーキを折った。

窓を開け、春の香りを感じながら、僕は君に紙ヒコーキを飛ばした。

風に乗って、どうか僕の詩を君に届けてくれ。

そうすれば君はすぐに僕の元に走ってやってくるはずだ。

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