#風に乗って
病室の窓から中庭を見下ろすと
君がベンチに座って俯いているのが見えた。
大方、僕にどんな顔をして会いに行くか迷っているところだろう。
きっとお節介な大人が僕のことを喋ったから。
僕は君が笑ったり怒ったり、屈託のない表情をみせるのが楽しみなのに。
ベット脇に置かれたチェストからノートを取り出してページを切り取ると、紙ヒコーキを折った。
窓を開け、春の香りを感じながら、僕は君に紙ヒコーキを飛ばした。
風に乗って、どうか僕の詩を君に届けてくれ。
そうすれば君はすぐに僕の元に走ってやってくるはずだ。
4/29/2024, 11:45:05 AM