いつかの僕へ
いつか もし 幸せだと感じたら
いつか もし
不幸だと
感じたら
自分を信じて
自分の中の
心の声を信じて
一歩だけでいい
前に
横に
そこから 動いて
未来を 信じて
今の僕より
街並みが落ち着いた色を纏っている
ふと香る 甘くもみずみずしい香り
空を仰げば 広がるいわし雲に気づいて
秋が訪れた事を知る
ゆっくりと冷たい風を運んでくる季節
袖の短い服では心もとない 恋しい季節
口元が緩むのは
秋のお気に入りを身に纏える幸福感
ほんの短い季節を共に過ごす
最高のお気に入り
早く取り出そうと足が弾む
冬が来る前に着て出かけようと心が叫ぶ
夏のお気に入りはまた来年
何とも特別なこの季節
冬を呼ぶこの季節は 少し夏を惜しむような
そんな服装にさせるのに
今年の終わりを迎える支度を
ゆっくりと 始めさせるのだ
あの日に戻れるなら
あの時間に戻れるならと
いつも 思う
僕は同じ過ちを繰り返す
その度に心に亀裂が入る
いくつもの小さな亀裂から
ほんの少し 滲み出る
後悔しては 思い知る
いくつもの笑顔が剥がれ落ちて
またひとつ またひとつと
足下に溜まっていく
落ちた笑顔の後ろには
また新しい笑顔
綺麗な笑顔
その奥にあるのは
真っ直ぐにこちらを見つめる
虚ろな目
無感情に流れ落ちる水が
止まることを知らずに 傷ついた頬を伝っては
笑顔の中に溜まっていく
渡るのは
怖くない
帰るのが
少し 怖い
ここを渡れば
きっと見えてくる
一面の花畑
話に聞くとおりの黄泉の道
「振り返ってはいけないよ」
耳の奥で声がする
大丈夫。帰るのは怖いから…
振り返りはしないさと
いつかの声に応えながら
目の前にならぶ揺れる花
招くように揺れる花
ひとつひとつ近づいて ふたつみっつと遠のいて
こちらからあちらへ
あちらがこちらへ
花畑の奥の方 水の音も流れゆく
招かれ辿り着いたその先に
永遠と呼べるものが何なのか
花たちだけが知っている
死にてぇ気分の中に
安らぎを求める 核が 居る