貴女が好きです。
でも、貴女は遠い遠い人。
触れてはならない人。
どうして、同性を好きになったんだろう。
私のこの手は貴女には届くことはない──────
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遠く…
君には渡したその花は
僕の髪色と同じ色で。
そして、造花だった。
枯れることのない花。
これで君はこの花を見る度に僕のことを思い出してくれるよね?
呪縛とも取れるこの枯れない花は、まさに。
永遠の花束だ
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永遠の花束
「お願いだよぉぉ!!!」
「えぇ〜…」
私は旦那のお願いに困惑した。
これ以上、やさしくしないでとは流石に引いてしまう。
「もっと強く!!」
涙目でそう訴えてくる旦那にある一種の恐怖を感じる。
もう……
「やさしくしないで、もっと強く叩いてくれ!そして、ブタ野郎って蔑んで!!」
ドMの旦那と普通の私。
最初は仕事を頑張ってくれているから仕方ないと思っていたけれど…
毎夜、そう言われれば流石に…
「……離婚しようかな…」
ボソリとそう呟いてしまった…。
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やさしくしないで
お前に渡せずに、棚の奥に隠した手紙があるんだ。
いつか、渡せるその日を待っているよ。
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隠された手紙
目の前にはいつもボクをいじめてくるガキ大将とその取り巻き三人。
今日も何かされるのではないかとビクビクする。
ニヤニヤとこちらを見ながらガキ大将は意味もなくボクに蹴りを入れた。
「!?」
ボクはただのストレス発散道具だった。
しかし、それも今日まで。明日には引っ越す。隣町だからすぐに会ってしまう距離だけど幾分か心に余裕ができた。
だから。
「あ、あのさ」
いつもはされるがままのボクが声を上げるのに驚いたのかガキ大将たちは少し怯んだようだった。しかしそれもすぐに無くなる。
「あ?なんだよ」
ドスを効かせた声で威嚇するようにこちらを見る。
ドクドクと心臓が鳴る。大きく鼓動しすぎて痛いくらいだ。
それでもボクは勇気を出した。周りから見てみれば小さな勇気かもしれない。でもボクからしたら大きな、大きな勇気。
「君たち、さっさと地獄に堕ちろ」
そう言った後何か反撃される前に反対方向へダッシュする。走っているだけの汗じゃない。頬も熱い。心臓が痛い。
それでも、ボクは勇気を出した。今までのボクからしたら大進歩だ。
さぁ明日から心機一転、新しい街で楽しい日々を送ろう。
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小さな勇気