目の前にはいつもボクをいじめてくるガキ大将とその取り巻き三人。
今日も何かされるのではないかとビクビクする。
ニヤニヤとこちらを見ながらガキ大将は意味もなくボクに蹴りを入れた。
「!?」
ボクはただのストレス発散道具だった。
しかし、それも今日まで。明日には引っ越す。隣町だからすぐに会ってしまう距離だけど幾分か心に余裕ができた。
だから。
「あ、あのさ」
いつもはされるがままのボクが声を上げるのに驚いたのかガキ大将たちは少し怯んだようだった。しかしそれもすぐに無くなる。
「あ?なんだよ」
ドスを効かせた声で威嚇するようにこちらを見る。
ドクドクと心臓が鳴る。大きく鼓動しすぎて痛いくらいだ。
それでもボクは勇気を出した。周りから見てみれば小さな勇気かもしれない。でもボクからしたら大きな、大きな勇気。
「君たち、さっさと地獄に堕ちろ」
そう言った後何か反撃される前に反対方向へダッシュする。走っているだけの汗じゃない。頬も熱い。心臓が痛い。
それでも、ボクは勇気を出した。今までのボクからしたら大進歩だ。
さぁ明日から心機一転、新しい街で楽しい日々を送ろう。
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小さな勇気
1/28/2025, 8:52:31 AM