「あ!面白いこと思いついた!」
少し嫌な予感がしたが友に言葉の続きを促した。
「何を思いついたん?」
すると友はばっちーんと語尾に星がつきそうな勢いでウインクをするとドヤ顔で言った。
「"ススキが好き"なんってー!」
しょうもないダジャレにかける言葉も無かったため、とりあえず無言で友の頭にチョップをかましたのだった。
「いったぁ!?」
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ススキ
何気ない日常は、どうやら当たり前ではなかったらしい。
「……最期に…君に逢いたかったなぁ…」
深傷を負って動けずにいた自分の脳裏にキミの顔がよぎった。
そう言ってボクは瞼の重力に耐えきれず瞳を閉じた。
"愛してる…"
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脳裏
キミには恋情を抱いてる人がいるよね。
だから、僕のこの思いはキミには伝えない。
伝えたところで、なんの意味もないから。
【少し怖いかもしれません】
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あなたとわたしは同じ。
だってあなたとわたしはいつも同じ服。
だってあなたとわたしはいつも同じ食事。
だってあなたとわたしはいつも同じ部屋。
笑う時も
泣く時も
落ち込む時も
怒る時も
全部一緒。
でも消えちゃった。
あなたは消えちゃった。
割れちゃった。
「新しい鏡を買ってあげるから」
割れちゃった。
割れちゃった。
あなたとわたしは同じ。
あなたとわたしは同じ。
だから、
あなたが消えたらわたしも消えちゃう。
またあなたと同じ世界で生きていく。
あなたとわたしは同じ。
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あなたとわたし
降水確率96%だったのに傘を忘れた。
いつも基本的に常備している折り畳み傘も生憎家に置いてきてしまった。
一気にテンションが下がる。
一向に止みそうにない雨と数分間にらめっこしながら策を練る。
しかしいい案が浮かばない。
このままでは家に帰るのが遅くなってしまう。
そこで決心した。
雨に濡れて帰ろう。
走ればなんとかなるだろう。
そして勢いよく飛び出した。
硬くて痛い雨。
しかし徐々に弱くなり次第に厚い雲の隙間からほんのり陽がさしてきた。
まるで自分を包み込むように柔らかな雨になっていく。
そうして家に着くと母親が泣きながら誰かと電話していた。
母親はこちらに気がつくと一言二言電話の相手に言って受話器を置いた。
そして、腫れた目で重苦しく言った。
「ばぁちゃんが亡くなっちゃった…」
「え…」
おばあちゃんっ子だっただけに衝撃が大きい。
そして思ったのだ。
きっと今日の雨はばぁちゃんが最期にくれた優しい優しい愛情だったのだと。
ありがとう、ばぁちゃん。
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柔らかい雨