降水確率96%だったのに傘を忘れた。
いつも基本的に常備している折り畳み傘も生憎家に置いてきてしまった。
一気にテンションが下がる。
一向に止みそうにない雨と数分間にらめっこしながら策を練る。
しかしいい案が浮かばない。
このままでは家に帰るのが遅くなってしまう。
そこで決心した。
雨に濡れて帰ろう。
走ればなんとかなるだろう。
そして勢いよく飛び出した。
硬くて痛い雨。
しかし徐々に弱くなり次第に厚い雲の隙間からほんのり陽がさしてきた。
まるで自分を包み込むように柔らかな雨になっていく。
そうして家に着くと母親が泣きながら誰かと電話していた。
母親はこちらに気がつくと一言二言電話の相手に言って受話器を置いた。
そして、腫れた目で重苦しく言った。
「ばぁちゃんが亡くなっちゃった…」
「え…」
おばあちゃんっ子だっただけに衝撃が大きい。
そして思ったのだ。
きっと今日の雨はばぁちゃんが最期にくれた優しい優しい愛情だったのだと。
ありがとう、ばぁちゃん。
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柔らかい雨
11/7/2024, 9:22:41 AM