視線の先には
いつもの時間いつものように始まる
テレビのニュース
政治だ金だ、事故だ殺人だ、
流行もあのウィルスも
僕にとっちゃどれも楽しくないものばかりで
頭の中じゃいつも違う事考えて
いつものようにテレビを消す
視線の先には
消えた真っ黒な画面にぼやけて映る
冴えない僕自身
僕はこんなだっただろうか
最近ちゃんと笑えてない気がする
それこそ今流行りのアレのせいで
とか言ってみる
自虐的にもなるさ
なにかのせいにもしたくなるさ
繋がりはほどけてしまった
大事に大事にしてきたのに
またイチからやり直すのが怖いんだ
画面の奥の僕は
いつか笑いかけてくれるんだろうか
分かってる
この世界は努力した者にしか
笑いかけてはくれない
頑張れるだろうか、やり直せるだろうか
新しい場所で
愛想笑いからもう一度
「君と私だけの秘密ね」
君が照れくさそうにそう言うから
それ以上は言えなかった
いや、
言わなかったの方が正しいのかもしれない
知ってたんだ
君が惚れたというアイツには
とっくに心に決めた人がいること
だから
君がアイツにフラれたら
泣いて愚痴りにでも来てくれたなら
僕はきっと君を抱きしめて
フリだけでも恋人になれるんだろうって
でも君は泣かなかった
あんなに頑張っていたのに
いろいろありがとね、
なんて僕に精一杯笑いかけるんだ
最低だ…
どの口が言えようか好きだなんて
君を傷付けたのはアイツじゃない
僕なんだよ
君があの時好きだったバンドの曲が
ふいに聞こえてきたから
つい思い出してしまったんだ
あぁ 君よ幸せであれ
今では心から願ってるよ
流れてくる優越感に身をゆだねた
倍になって押し寄せてくる劣等感を遠目に見て
打ちのめされる事は分かっているのに
もう何度目だろう
結局それでしか保てないのだ、僕は
手を差し伸べて欲しいのだ、ほんとは
何も考えず 特別幸せでも不幸でもなく
ただ普通に生きて 普通に死にたい
それだけなのにな
まったく
めんどくさいよなぁ 人間て
たった一件のLINEを
今も待っている
別に女々しくとかそんなじゃないよ
僕は元気でやってるよ
さすがにあの時は参ったけど
心の傷を抉り
君に見せつけてやりたいくらいだったよ
でも時がほんとに解決してくれたもんだから
ただただ歳を取ってくのも悪くないね
一言聞いてみたい事があるんだよ
「本当はあの時君はさ…」
その答えがどうだったとしても
ただ最後に一言
君に言いたい事があるんだよ
懐かしい夢を、見た気がする
その頃はまだ自分は欲張りで
頑張ればなんだって出来るんだって
そう思っていたっけ
大人が嫌いなくせにいい子のふりして
心の中ではよく馬鹿にしてた
そんな大人達によって作られた
変わらない毎日の中で
自由が無い事をいつも嘆いていたけれど
ただそれってさ
はみ出さないように
僕らは守られていたんだなって
今なら分かるよ
自由なんて切符を持った瞬間
社会に揉まれて 線からはみ出て
下手すりゃ轢かれる
朝、目が覚めたら泣いていたのは
あの頃なりたくない大人に
自分はなってしまったから
どうしても、どうしても戻りたいと
叶わない欲で枕が滲んでも
それでも今の自分に
どこかまだ期待してしまっているから