急速に 落下するように
あなたの奏でる音に溺れていく
その声 もっと聴きたい
その低音 最高だわ
何度も何度もリピートして
ヘッドフォンで あなたを摂取する
それは満たされることなく
依存性は尚更高まる
新譜なんていらない
お気に入りの曲にだけ とことん
◇落ちていく◇
血が繋がってないけど家族で
良いことも悪いことも共有する
たまには嘘をついてみたり
墓まで持っていかないといけない
秘密を隠し通してみたり
かと思えば 二人にしかわからない
阿吽の呼吸で歌い上げたり
相手の気持ちを優先してあげたり
それでも譲れないことは 譲歩しあって
笑えないことを笑い事にして
瞳の奥の本音を探る
ときには喧嘩もするけど
意識して 大切に 紡いでいかないといけない
消えてしまったら 二度と灯らない
儚くて 尊い きずな
◇夫婦◇
手探りで のたうち回って
這いつくばって 涙が出たって拭う暇もない
そんな感じで生きている
もうちょっと楽に生きたいのになぁ
◇どうすればいいの?◇
緑色のビー玉みたいな瞳を持つ
活発でおしゃべり
甘えんぼの黒猫の男の子
控えめなのに大胆
病気のせいで体重3キロあるかないかの
華奢でおめめぱっちり
しっかりお返事できるサビ猫の女の子
どちらもわたしのいちばん
ママのとこにきてくれてありがとう
◇たからもの◇
蝋燭の灯りで周りより一際明るいテーブルにエスコートされ
ウエイターが去る前に
手慣れたように料理やドリンクを頼む
ここは料理出てくるの、おそいから
とニコニコしながらあなたはわたしに話す
間接照明やネオンサインで彩られたホールは
グランドピアノがごく自然に配置され
今まで何千、何万人も迎え入れたであろう
品の良い木製のテーブルや椅子、ステージは
ジャズやR&Bを染み込ませたようで
年季の入ったホールによく似合った
演奏が始まるまで、
平日だというのに活気のある店内は
ウエイターも客も往来が激しい
となりのテーブルの若い男衆3人組が
話しながら店内をキョロキョロしている
わたしと同じで初めてくるのかなと
横目で眺めているとあなたが
いつも持ってるトランプカードを取り出して
ゲームをしようと言ってきた
絵柄のあるカードをシャッフルして
1枚をテーブルに置いて
そのカードに手をかざして
赤か黒か 色を当てるというもの
ハートやダイヤは、かざした手が
温かく感じると言って
あなたはテーブルに置かれたカードの色を
見事に当てた
わたしもそれに続いて次のカードに
手をかざすのだけれど
わかるような、わかんないような
わたしたちはドリンクがきた後も
くすくす笑いながら
演奏が始まるまで お互いの手を触って
赤か黒か どうしたらわかるのか
テーブルの灯りに照らされながら
指南してもらっていた
◇キャンドル◇