優しくしないで
僕に余裕を見せないで
そんな目で見詰めないで
僕のために動かないで
僕は望んでないよ
始めたのは、君たちだ
かわいそう
五つの言葉
たった五つが僕の気持ちだと思わないで
認めないで
賞賛しないで
批判しないで
調子に乗らないで
ねぇ、落ち着いて
カラフル
色々な色
誰もが好きな色がある
誰もが決して、好きな色を強要しない
カラフル
色々なこと
私に好きは色は無い
強いて言うなら白か黒か、灰か
カラフル
色々な人
私はまだ、カラフルじゃない
楽園
人はここをそう言う
狂人、孤児、前科者
どんな者も、人として迎え入れる
衣食住全ての揃った古城のような施設
1人の物好きな子供と、子供の親とも、兄弟とも、使いとも思われる男のたった2人で回されているこの施設はまさに、楽園だ
しかし、ひとつ奇妙なルールが設けられている
この場を利用する者は、目を隠せ
それさえ守れば安全な施設で寝泊まりができる
目を隠すだけだ
なんの目的があるかは分からない
だが、ただ目を隠すだけで安全な衣食住を約束してくれるのなら安い
薄い布を使ったり、細かい穴を開けたり
施設を利用する者は何かと工夫をし、前が見えるようにして施設を利用していた
城を行き来する者全て、目を隠した者だけだ
なにか宗教的なものにも見えるし、城の中に見てはいけない怪物がいるようにも思える
噂は簡単に広がり、施設は誰もが知る存在となった
しかし、あんなに目を隠すものがあまりにも多くいると
本当に目の見えない、盲目の者も、軽蔑の目を向けられず危険なく過ごすことが出来るだろう
風に乗って
いくらでも速度は上がる
たとえ風邪が弱くても進む
しかし急には止まらない
絶対に誤差が生まれる
帆が広ければ広いほど
速く進んで、止まらない
焦るな
いや、自分の足で歩け
刹那
あなたはあの時、何を思っていたのだろう
どうしたの?
何気ない問さえ投げかける瞬間が無かった
何かが変
……変?
変とは、なんだったんだろう
君が好きな言葉だ
僕は変な奴だと
お気に入りの口癖だった
僕もその言葉が好きだった
変、同士
上手くやれてると思ってた
いつからまともだったんだろう
歯車が合わなくなった
最初から噛み合ってなかったのかもしれない
この思考も、一瞬の出来事なのだろうか
刹那だと勘違いしていた
余裕がなかったのは、僕だった