楽園
人はここをそう言う
狂人、孤児、前科者
どんな者も、人として迎え入れる
衣食住全ての揃った古城のような施設
1人の物好きな子供と、子供の親とも、兄弟とも、使いとも思われる男のたった2人で回されているこの施設はまさに、楽園だ
しかし、ひとつ奇妙なルールが設けられている
この場を利用する者は、目を隠せ
それさえ守れば安全な施設で寝泊まりができる
目を隠すだけだ
なんの目的があるかは分からない
だが、ただ目を隠すだけで安全な衣食住を約束してくれるのなら安い
薄い布を使ったり、細かい穴を開けたり
施設を利用する者は何かと工夫をし、前が見えるようにして施設を利用していた
城を行き来する者全て、目を隠した者だけだ
なにか宗教的なものにも見えるし、城の中に見てはいけない怪物がいるようにも思える
噂は簡単に広がり、施設は誰もが知る存在となった
しかし、あんなに目を隠すものがあまりにも多くいると
本当に目の見えない、盲目の者も、軽蔑の目を向けられず危険なく過ごすことが出来るだろう
4/30/2023, 3:17:22 PM