『ただいま、夏』
この世界はある日突然夏が消え、一年中冬が続いている
研究チームは何とか夏を取り戻そうと頑張っていた。
それが実ったのか、年々夏の暑さを取り戻してきた。
『暑さ、だんだんでてきたね〜』
『そうだな』
『前までは普通のジュースだと思ってたラムネが
今じゃ、これ無しには生きられないよ』
『たしかに』
『ただいまー!!夏ーー!!!』
『そこはおかえりじゃないのか?』
『なんか、ただいまの方がいいかな〜って』
『適当かよ』
また、騒がしい夏が始まるのか
まぁ、いいか
『ぬるい炭酸と無口な君』
『いや〜、やっぱ暑い夏にはラムネだね〜』
『そう思うだろ?』
……
『そぉ無視すんなって』
『ほら』
そう言い俺はラムネをあいつの前に置いた
『…ラムネ、ぬるくなる前に飲めよ』
『明日もまたお前に会いに来るからな』
『明日も飲まないなんて許さないからな』
持ってきていた花をラムネの横に置く
『夏はやっぱりひまわりだろ』
『お前にやるよ』
『暑いだろ』
『水、かけてやるから待ってな』
―
『じゃぁな』
『波にさらわれた手紙』
拝啓 今は亡き両親
あの世はどうですか?
あの世には病気も無く、犯罪も無いのですか?
元気でやっていますでしょうか?
私は相変わらずピンピンしています
あなた達が亡くなっても、私は後追いなどしません
寿命をまっとうして、あなた達の元へいきます
なのでゆっくり、そこから見ていてください
私の勇姿を
その目に焼き付けてください
透より
両親の骨を流した海に、私は来ている
此処に手紙を流せば、きっと両親も見てくれる
期待を胸に
私は力強く握っていた手紙を海に流した
『8月、君に会いたい』
待ってくれ
行かないで
置いてかないで
一人ぼっちにしないで
会いたい
君に会いたい
話したい
抱きしめたい
君が死んだ夏
僕は一人になった
悲しかった
悔しかった
君を止めてあげられなくて
ごめん
饅頭、好きだったよね
8月にお盆があるから
そのとき、沢山饅頭買ってくるね
だから、お盆ぐらい
僕と会ってよね
僕、
そろそろ限界だから
『眩しくて』
クラスで一番人気のあの子になりたくて、私はあの子の真似をする。
でも、何かが違くて、何かが欠けている。
あの子にあって私に無いもの、そんなの沢山ある。
数えられないほどに。
あの子はいつもクラスの中心で、みんなに慕われて、
みんなに優しい。
眩しくて、眩しくて、
羨ましい。
私はあの子にはなれない。
わかってるよ
そんなこと
でも、なりたいんだよ
あの子みたいに、みんに頼られるような人間に…
ねぇ、そんなに輝かないでよ。
私が惨めだよ
悔しいよ
やめてよ
もぅ…これ以上…眩しくならないで…