好きじゃないのに
小さい頃
生ガキが好きじゃなかった
なんか海くさいし
ぶにょっとしてるし
味つけすっぱいし
でも
お母さんが好きで
季節にはよく作って
食べていたから
わたしもおいしいねって
一緒に食べていた
実は大人になっても
生っぽいカキは苦手のままで
身が縮むくらい
加熱されてるほうがいい
だけどあの頃のわたしは
ぶにょっとしてても
すっぱくても
大好きなお母さんと
一緒のそれを
食べたかった
ところにより雨
車移動がメインになってから
傘を持ち歩かなくなった
車には積んである
もちろん家にも傘はある
予報はところにより雨
ところによりのところって
どこだろう
雨が降る前の湿った空気
雨に濡れた土の匂い
晴れているのに降る雨
雨雲と晴れ間がせめぎ合う空
降ったり止んだり
晴れたり曇ったり
ここは晴れてるのに
あそこは雨降り
っていう感じの
境目のことだろうか
まぁ車なので
ちよっと走ればいいかなと
今日も傘は置いていこう
バカみたい
あーやっちゃった
だくだくと流れるしょうゆ
早く倒した容器をもどさなきゃ
近ごろこんなことが増えている
まちがえて詰めたシャンプー
録りそこねたドラマ
うまくきまらない前髪
おでこにできたニキビ
目の下に居座るクマ
仕事中も言わずもがな
集中できてるわけがない
バカみたい
気にし過ぎだとはわかってる
くよくよしたってしかたない
繰り返さない対策をたてればいい
笑い飛ばして
明日がんばるって
言えばいい
だけど
わかっていても
できない夜が多すぎる
二人ぼっち
めまぐるしく
すぎる季節を
共に越えてきた
騒がしいけど安心できて
慌ただしいけど充実してて
やることいっぱいだけど幸せで
大変なこと
いろいろあったけれど
わたしたちすごく
がんばった
立派に巣立った
姿を見て
うれしいのに寂しい
誇らしいのにむなしい
静けさがとても悲しい
だから
もっとふたりで
どこかへ行こう
新しいことやってみよう
見たことない景色を見て
美味しいものを食べよう
そして
楽しかったことを
巣立った彼らとも共有しよう
ねえ
二人ぼっち
もう寂しくないよ
夢が醒める前に
わたしは夢を見る
整合性とか理屈とか
そんなの気にしない
不思議で
おもしろくて
時々悲しくて
ても胸の熱いやつ
わかってる
目が覚めると
ほとんど忘れてしまうって
夢のストーリーをなぞっても
目覚めたわたしは
理性の制御がかかって
夢の無秩序を
受け入れられないのだ
起きたらすぐ
スマホにメモするつもり
だけどできるなら
夢が醒める前に
今ここで
メモ取りた〜い