絆
目に見えないそれを
どうやって確かめたらいいのだろう
触れることもできず
味わうこともできない
そこにあるかもしれない
ここにあってほしいと思う
もしかしたら
わたしだけが感じているのかもしれない
あると思っていることさえ
勘違いかもしれない
それでも
わたしは
ここに
絆があると信じたい
たまには
小さめの寸胴鍋の中をのぞきこみ
2日目が美味しいんだよね
と濃い色のルーをかき混ぜる
できたてほやほやも熱々で
いいのだけれど
しっとり味の落ち着いた明日もいい
脂肪と糖と塩分と
いろいろあって
最近あまり作っていなかったけど
たまには
思い切り楽しんでもいいのでは?
ごはんを少なめに・・
いや、おかわりをひかえて
あ、でもチーズものせたい
さすがにそれは・・
んーでも
たまには
たまにはね
欲望
いつまでもぬくぬくのお布団の中でまどろんで
何時間だって眠っていたい
と口では望んでみたものの
いざ21時消灯を課せられると
これが全然眠れない
仮にうまいこと眠りの世界に旅立てたとしても
シンデレラかって時刻に現実に戻る
そして長い夜が続くのだ
人の気配が消えない病院は
浅い眠りを繰り返す
自分の体温で温まった寝具は寝苦しく
朝が来るのを息をひそめて待つばかり
わたしにやすらぎとしあわせをくれるお布団
お家の布団に帰りたい
小さな命
ある年の春
家の庭に杉が生えた
小さな杉の枝が土に刺さったような
でもしっかりと根っ子の抵抗
振り向けば山
そこには立派な杉、杉、杉
あの山は花粉だけでなく
小さな命もうちの庭にまいたらしい
枝一本刺さったくらい
かわいいもんだ
がんばれ
なんて応援した日がありました
わたし
振り向いて確認したよね
立派な杉
あれ?いつの間に
わたしの背を越えました?
あれ?細く見えて
ずいぶんお強いようで・・
やばい
これは
あれになる!
長い戦いの末
痺れた腕と引き換えに
直径10センチにも満たない
小さな切り株ができた
安易に応援してごめんね
ここはキミには狭すぎたよ
枯葉
カラカラ
カサカサ
風に吹かれて右へ左へ
乾いた音をたてている
なるほど集めて燃やせばよく燃えそう
とは言え落ち葉集めて焼きいもなんて
実際には見たことないけれど
いまどきは世間さまの目も厳しくて
庭先で焚き火はできそうもない
下手すれば真っ赤なクルマが駆けつける
せめて北風がぴいぷう枯葉を舞い散らせるのを
見て楽しもう