世界に二人だけ
そんな夢物語
叶うわけない
『二人ぼっち』2024,03,22
ろくでもない一日だった
朝から踏んだり蹴ったり
夜も夜とて家に帰ってこれたのは日付が変わるギリギリ
こんな時間だが飲んでやろう
いや、こんな時間だからこそ飲んでやろう
今日にさよならを、そして新たな今日のはじまりを告げる缶の音が部屋に響いた
休日、始まりは上々だ
『今日にさようなら』2024,02,19
いつからだろうお気に入りのオモチャが可笑しくなってしまったのは
そうなってしまった原因は紛れも無く自分のせいだというのもわかっていた
無理矢理、連れ回したりしては彼を振りまわしてきた
それでも、いつも笑ってい後ろをついてきた
それに味をしめた自分は、次第に内容もどんどんとエスカレートしていった
驚かしたり、怖がらせて泣かせては、その泣き顔を楽しんだりもした
だが、豊かだった感情表現も、最近は困ったように少し笑った顔しかしない
怒るようなことをしてみても、ただただ『ごめん』と笑ってはぐらかす
そんな顔にさせたかったわけじゃない
けど、そんなふうに思う自分の心もわからなかった
『お気に入り』2024.02.18
僕が一番君のことを愛してるんだ
全世界の他の誰よりも
笑顔も泣き顔も、嬉しい時も辛い時も、僕は全て君の隣で見てきた
なのに怖いの一言で僕のことを突っぱねるのは流石に傷つくよ
『誰よりも』2024,02,17
ある日のこと
未来の私と名乗る人物からの手紙が郵便受けに届いていた
恐る恐る封筒を開け便箋を取り出す
便箋は『10年前の私へ』から始まり
最後に『10年後の私より』と締められていた
けれど、肝心の中身は何も書かれていなかった
まっさらな空白
その時、未来を悟ってしまったような気がした
もしかしたら自分は生きていないのかもしれないと
『10年後の私から届いた手紙』2024,02,15