きみは運命というものを信じているようだけれど
実際は運命なんてものは無いのだ
通じ合える訳ない
同じ血が流れる――例えば、双子でも無い限り
2つの心が通じ合うなんてことは起きない
『心と心』2023,12,11
いま自分は何でもないフリを演じられているだろうか
普通に笑い、いつもの様に相槌をうつ
何気ない仕草ひとつにすら細心の注意を払って演じる
隣で笑う憎たらしまでに眩しい君の笑顔を奪い
絶望の闇に突き堕とすために
言葉では表せないほどの関係を結んでおいて、そんな気はハジメから一切無かった
永年一緒に歩んできた2人の歴史(おもいで)も、真っ黒なインクをぶちまけられたみたいに修復不能なまでに汚してやる
僕は君と同じ天使じゃない、堕天使なのだ
『何でもないフリ』2023,12,11
最後まで伸ばしてくれていた手をとらなかったのは自分だ
引き留めようとする手を振り払って
それでも追いかけてきてくれて
イラついた俺は傷つけ
『一生、会いたくもない』とも言い放った
彼の絶望に歪んだ顔はイマでも思い出せる
あのとき全身に走った愉悦は完全に悪魔に支配されてしまった証拠だった
それでも、何度も何度も必死に立ち上がる姿に嫉妬を覚え、さらなる怒りが生まれた
そうやって繰り返してきた闘いも些細なことであっさりと終わりを迎えてしまった
頭の中で物凄く嘲笑っている悪魔の声に目の前が真っ黒に染った
未熟でバカだったのだ
気がつくのが遅すぎた
目を醒ましたところでもう手遅れだった
いっときの気の迷いで手を出したモノの代償は余りに大きかったのだ
すべてを闇に侵食された身体は限界を迎え朽ち果てようとしていた
最期はふたりの出逢いの地で
君と笑いあっていた頃を思い出して静かに目を閉じるよ
壮大な花咲く丘の上
自業自得とはいえ空いた隣が寂しかった
走馬灯……
いや、俺がそんなものをみられるはずがない
幻覚だろうか
流れないはずの涙がこぼれ落ちていた
あの時はごめんね
自分はどうかしていたみたいだ
今までありがとう
そして、さようなら
『ありがとう、ごめんね』2023,12,08
逆さまに落ちていた
気がついたときにはもう随分と深いところまで堕ちてしまっていた
真っ暗闇の中、必至に手を伸ばし藻掻くも虚しく空を切るだけだった
暴れる俺に闇は強引にでも引きずり込むように何かが身体を這ってきた
ドス黒くヌメりどろどろとしたモノ、それは『戻さない、一生帰さない』と身体に絡みついてくる
あまりの気持ち悪さに吐き気をおぼえた
が
今更後悔したところで助けてくれるような人はもう居ない
約束通りこれから先は
身も心も闇に侵食されていくしかないのだ
『逆さま』2023,12,07
辛いけど
さよならは言わないよ
また出逢うんだから
いつかじゃない
来世でもその次の世界でも絶対に
何度でも君の隣に居るから
だから、またね
『さよならは言わないで』2023,12,04